研究課題/領域番号 |
20K18233
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
竹田 純 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60813459)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 胎児心拍数陣痛図 / 人工知能 / 脳性麻痺 / 分娩管理 / 胎児機能不全 / 子宮収縮 |
研究実績の概要 |
胎児心拍数陣痛図のパターン分析を行う準備として、すでに分娩を終えた産婦の胎児心拍数陣痛図のデータを用いて分娩監視システムのデジタルデータを波形に再現することを行った。胎児心拍数陣痛図を描くにあたり1秒あたり4回のドプラーデータを計測し、その平均値を図にプロットしているが、その1秒間あたり4回のデータをすべてをCSVデータとしてサーバから抜き出し、改めて解析用サーバで図を描画した。また同時に子宮収縮のデータ、すなわち基準点からの圧変化に関するデータも描画した。胎児心拍数は母児の体勢の変化などによりうまく検出できず0となるデータが頻発するため、まずはそれらの値をエラーとして削除し、前後のデータを継続データとして使用する方針とした。描画された図は胎児の心拍数のデータによってギザギザとした細かい変化のある図となるが、その細かい変化をすべて胎児徐脈と人工知能が判断しないように重みづけ平均によって胎児心拍数・子宮収縮データを補正し滑らかな線とした。その後、早発一過性徐脈、遅発一過性徐脈、変動一過性徐脈、遷延一過性徐脈と4つある一過性徐脈を日本産科婦人科学会の定義と合致し、図から検出できるように子宮収縮のピークと徐脈のピークの点から定義した。データ補正方法は、産婦人科医の持つ臨床的知見と適合し、かつ解析に適したデータ補正の方法を定義した。また一過性徐脈の基準となる、心拍数基線に関しては一過性徐脈の際のデータを抜いた10分間での頻出値およびその移動平均とした。 分娩方式の決定・実施タイミングの予測については、波形解析に加え、胎児心拍数の変動を心拍数基線に対する変動幅および変化の速度を考慮して定量的にリスクを評価する方法として、積分により面積を求めその値を積算し、また各一過性徐脈に対して重みづけをしたうえで、定めた閾値ごとに分娩方式の決定・実施タイミングを予測する方法を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
現在は今まで分娩となった過去のデータを使用し、そのデータが人工知能の解析に耐えうるものとなるようなデータクリーニングおよび図の描画を行っている。またこの図の描画がどのような一過性徐脈にも自動的に対応可能か検証を行っているが、心拍数の基線を定める際に徐脈の程度によっては最頻出値が徐脈の最中の値をとることがあるため、徐脈を除いた値とするアルゴリズムの作成に苦慮している。 また新型コロナウイルスのパンデミックにより当初予定していたより臨床に割く時間の比重が大きくなり、研究時間が確保できなくなっていることや人工知能を扱う共同研究先とのコミュニケーションが取りづらくなっている点も進捗の遅れにつながっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は人工知能を扱っている共同研究先とのミーティングを行い、クリーニングされ描画されたデータを機械学習させるプロトコールを作成し、実施することを行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が遅れ、人工知能を用いた解析が始めることが出来なかったため。
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