子宮頸部胃型腺癌は子宮頸がんの中で稀少な組織型であり、予後不良であることが知られている。東京慈恵会医科大学の関連病院で手術が施行された子宮頸部胃型腺癌症例の臨床データを集積した。その結果得られた、子宮頸部胃型腺癌の症例の情報および、外科的に切除された14例の検体のFFPEからDNAを抽出した。抽出DNAのクオリティーを確認し、ライブラリーを作成し、次世代シーケンサーを用いて全エクソンシークエンスを施行した。得られたゲノムデータを処理して、有意な遺伝子異常を抽出した。抽出された遺伝子異常のプロファイルを解析して、高頻度にみられた遺伝子異常を示した。遺伝子異常の種類を含めた詳細についても示した。また、Tumor Mutation Burdenの解析を行い、全がん種の中で中程度であることを示している。さらに、解析によりいくつかの遺伝子異常が共存していること、また相互排他性を有していることが示された。ドライバー変異として機能していると考えられる遺伝子異常が示された。加えて、Mutational signatureの解析を行い、3種のsignatureタイプについて示している。 これらのゲノム解析の結果を踏まえて、これらの検体の免疫染色との関連解析を進めている。臨床データとの関連解析と併せて、予後に影響する遺伝子異常や子宮頸部胃型腺癌の発がん機序に関連する機構を明らかにするための研究を進めている。
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