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2021 年度 実施状況報告書

HMGB1を用いたhidden hearing lossにおける治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K18242
研究機関山形大学

研究代表者

寺田 小百合  山形大学, 医学部, 医員 (40795697)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードhidden hearing loss / cochlear synaptopathy / HMGB1
研究実績の概要

近年、強大音暴露による一過性聴覚障害後に、通常の聴力検査は正常であるにも関わらず、騒音下での聞き取りが著明に低下するhidden hearing lossという病態が注目されている。この原因として、これまで聴覚障害の原因とされていた有毛細胞の障害より先に、内有毛細胞と聴神経間のシナプスが障害されることが考えられており、cochlear synaptopathy (primary neural degeneration)と呼ばれている。これまでの感音難聴の治療は、有毛細胞の保護や再生に主眼を置いた治療であったが、今後は有毛細胞のみならず、聴神経の再生治療の開発が必要である。
本研究では近年、自己の骨髄MSCの誘導を介して組織修復に働く蛋白として注目を集めているhigh-mobility group box 1 (以下HMGB1)を用いた聴神経再生による感音難聴治療の開発を目指している。
今年度は昨年度に引き続き、音響曝露によるcochlear synaptopathyモデルの作製を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

前年度は先行研究として防衛医科大学校の水足らとの共同研究を開始し、laser-induced shock wave(LISW)を用いたcochlear synaptopathyモデルの作製を行った。今年度は先行研究の共同研究をもとに、音響曝露によるcochlear synaptopathyモデルの作製を行った。動物は8週齢以上のオスのCBA/Jマウスを使用し、音響曝露は8-16kHzのオクターブバンドノイズを作製し、98dB、2時間で行った。聴力評価はABR閾値とABRの80dBの第1波のamplitudeを測定し、音響曝露2週間後に組織評価を行った。現在上記の音響曝露条件でcochlear synaptopathyに特有の一過性の閾値上昇を認めるモデルを作製することに成功したが、第1波のamplitudeの結果が先行研究の結果と乖離しており、現在測定機器の調整なども含めて再度評価を行っている。

今後の研究の推進方策

今年度は先行研究を参考に、8-16kHzのオクターブバンドノイズを作製し、98dB、2時間で音響曝露を行い、ABR閾値とABRの80dBの第1波のamplitudeを測定した。来年度はさらにDPOAEによる評価を追加するとともに、個体を増やし、安定した障害モデルの作製を目指す。障害モデルが完成したのちには、コントロール群(生理食塩水投与)と治療群(HMGB1局所投与)に分け、HMGB1の治療効果について検討を加える予定である。

次年度使用額が生じた理由

令和3年度は令和2年度に引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、研究に必要な技術員の移動が制限されたり、国内・国際学会が延期されたりオンライン開催になったりしたため、使用予定であった人件費や旅費を使用しなかった。令和3年度の助成金については、cochlear synaptopathyモデルの作製のための物品費や、学会参加のための旅費などに使用する予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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