研究実績の概要 |
アレルギー性鼻炎モデルラットであるTDI(トルエンジイソシアネート)で感作したラットの鼻腔にナローバンドUVBを単回照射し、TDIで誘発されるくしゃみ回数をカウントし、鼻粘膜のヒスタミンH1受容体(H1R)mRNAをリアルタイムRT-PCRで測定した。ナローバンドUVBをモデルラットの鼻腔に200mJ/cm2,400mJ/cm2,600mJ/cm2,1400mJ/cm2の用量で単回照射すると、TDIで誘発されるくしゃみ回数と鼻粘膜ヒスタミンH1受容体(H1R)mRNAのup-regulationが、用量依存性に抑制された。この抑制は600mJ/cm2以上の照射用量で有意であった。600mJ/cm2の照射の抑制効果は24時間後まで持続した。DNA損傷、アポトーシスの検討では、600mJ/cm2の単回照射ではDNA損傷を引き起こさず、ごく少数の細胞にアポトーシスが誘導されたのみであった。照射の至適用量は600mJ/cm2と推定された。 最終年度には、600mJ/cm2を3日間に分割した場合の照射の効果および持続期間について検討した。1回200mJ/cm2を3日間照射し、最終照射の3時間後、24時間後、48時間後にTDIで誘発してH1RmRNAの測定とくしゃみ回数のカウントを行った。200mJ/cm2×3日間の照射終了後3時間後にはH1RmRNAのup-regulationは有意に抑制され、くしゃみ回数も有意に抑制されたが、24時間後、48時間後には抑制効果は消失していた。 この結果から、600mJ/cm2を分割して照射しても持続時間の延長が明らかではないことから、1回至適照射量は600mJ/cm2と推定された。
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