研究課題/領域番号 |
20K18266
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
武田 鉄平 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (00837289)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 嗅神経芽細胞腫 / レクチン / バイオマーカー / 膜タンパク |
研究実績の概要 |
嗅神経芽細胞腫(ONB)は臨床的悪性度の高い鼻腔内悪性腫瘍で、治療法として腫瘍減量切除術と術後の放射線療法が行われている。しかし切除術では術中切除断端の同定能の低さに起因する残存腫瘍再発の問題があり、放射線療法では隣接する健常組織に対する機能障害の問題がある。そこで切除断端同定能が高く、組織障害性の低い効果的な新規治療法の開発が求められている。 本研究ではONB腫瘍細胞株や患者由来腫瘍含有切片を用いたin vitro解析によって、糖鎖結合タンパク質であるレクチンが、光免疫療法に適応可能なバイオマーカーになりうるかを特異性・安全性・適合性の観点から証明する。 Human(病理検体ホルマリン固定パラフィン切片)を用いて、嗅神経芽細胞腫における特異性・糖鎖特異性の詳細な解析を行った。ラットを用いたPre実験では、嗅上皮にたいしてはsWGAレクチンの糖鎖バイオマーカーとしての特異性を見出していたが、7種類の糖鎖バイオマーカーでHumanの嗅神経芽細胞腫を再検討すると特異度の高いバイオマーカーは見出せなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
20種類のレクチンを用いてレクチンブロットを行った。しかしながらONBに特異性のあるレクチンは見つけられなかった。問題点としては、膜糖鎖の抽出法が難しいこと、レクチンの種類が少ないことである。レクチンアレイの選択肢も残されているが、解析費用が高額になるところが問題点である。 同時に行った遺伝的網羅解析で、発現の高い膜タンパク2種類を候補に挙げ、免疫染色を行った。 1種類ではONB細胞膜にタンパク発現を認めたが、他神経、腺管構造にも発現が認められ、特異性は認められなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度を最終年度として、遺伝的網羅解析で発現した数種類の膜タンパクに注目して免疫染色を継続していく。また膜タンパクからつながる糖鎖についても注目していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝的網羅解析によって膜タンパクの候補ができたため、最終年度は候補膜タンパクに対して免疫染色やRNA発現などを見ていく予定である。
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