研究課題/領域番号 |
20K18272
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
坂井 利彦 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80847012)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 口腔癌 / 簇出 / 上皮間葉移行 / FAK / 蛍光イメージング / 交感神経 |
研究実績の概要 |
本研究は早期口腔扁平上皮癌を対象として、「簇出(Budding)」という癌発育先進部の侵潤様式に着目し、頸部リンパ節転移の予測因子となるかどうか明らかにする。同時に、上皮間葉移行に関与し、頭頸部扁平上皮癌の転移能にも関連するとされるFocal Adhesion Kinase(FAK)と簇出との関連を探索する。 具体的には、早期口腔癌切除標本における簇出を病理組織学的に評価し、免疫染色および蛍光プローブを用いたFAK発現定量と併せて、リンパ節転移予測のバイオマーカーとしての精度を高めることを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当施設の舌癌症例80例の簇出(Budding)の一次評価は終了し、Buddingおよび、Focal Adhesion Kinase(FAK)免疫染色での予後評価を行い、現在英文投稿調整中である。Buddingが独立した予後不良因子であることが示された結果であり、この点進捗は順調である。また、がん微小環境において関与が指摘されている交感神経の腫瘍先進部での増加の有無をTyrosine Hydroxylase (TH)染色にて評価し、Buddingとの関連を解析した。代表的なBudding high/low grade症例のFFPEを用い、腫瘍部/正常部からDNAを抽出し遺伝子変異検索の準備を行った。4月以降はCOVID-19流行による影響で遅延の可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
Buddingの検討する際、検者による評価のばらつきを認めた。そこで、再現性及び検者間信頼性が高いことで知られるTumor stromal ratio(TSR)に注目した。舌癌症例80例のTSRを評価し、検者間信頼性の検討と生存解析を行い、Buddingとの予後因子としての信頼性を比較検討する。また、次世代シーケンサーを用いて遺伝子情報の解析を行った上で学会発表、英文誌投稿の予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度は研究成果の英文誌投稿、次世代シーケンサーにて遺伝子情報の解析を行う予定である。
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