研究課題
口腔舌扁平表皮癌は早期がんであっても高率に頚部リンパ節転移を起こす。本研究は口腔舌扁平上皮癌における頸部リンパ節転移予測因子について調べることを目的とした。大腸癌のリンパ節転移予測因子として知られる簇出(Budding)を中心に病理学的予後予測因子の検討を行い、がん微小環境に注目し分子生物学的検討を行うことで舌癌の頸部リンパ節転移のメカニズムを解明し、予後予測による新たな治療戦略を確立することを最終目標とした。昨年度は、当施設における舌癌症例70例のBuddingを評価した。Buddingの検討する際、検者による評価のばらつきを認めた。そこで、再現性及び検者間信頼性が高いことで知られるTumor stromal ratio(TSR)に注目し、同症例に対して評価をおこなった。ここで得られたBuddingおよびTSRと臨床病理学的因子とで多変量解析を行ったところ、TSRが独立した頚部リンパ節転移予測因子であることが示された。この結果は国内学会で発表を行い、英文誌に掲載された。これに加えて昨年度はがん微小環境において関与が指摘されている交感神経の腫瘍先進部での増加の有無をTyrosine Hydroxylase (TH)染色にて評価し、臨床病理学的因子との関連を解析した。また凍結切片よりRNAを採取した新しい14症例で神経浸潤の有無での該当RNAの発現を比較した結果について解析を進めている。この結果を現在学会発表および英文誌へ投稿準備中である。
3: やや遅れている
COVID-19流行による影響でやや遅延している。
昨年度に追加で検討した神経浸潤の有無と腫瘍先進部での交感神経発現、該当RNA発現についての研究内容を本年度中に論文化することを目指す。
新型コロナウイルスの蔓延による研究活動の制限が生じたため研究が滞った。次年度に必要な試薬・解析ソフトの購入、学会発表、英文校正、英文誌投稿費用としての使用を予定している。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
International journal of clinical oncology
巻: 12 ページ: 1818-0827
10.1007/s10147-022-02249-y