研究実績の概要 |
鼻粘膜の擦過細胞と、末梢血中の末梢血単核球細胞(PBMC)に対して、エピゲノム解析を行い、アレルギー性鼻炎との関係を調べた。その結果、特に鼻粘膜の擦過細胞におけるLPCAT2のメチル化は、アレルギー性鼻炎の重症度に関連があることが示唆された。PBMCでは、遺伝子のメチル化と重症度に関連のある遺伝子を指摘することはできなかった。 LPCAT2は、血小板活性化因子(PAF)の産生に関連しており、アレルギー性鼻炎の種々の症状を助長させることが知られている。現在、アレルギー性鼻炎の治療方針の判断は患者の主観で決定される重症度に従っている。これまで、アレルギー性鼻炎に関連するバイオマーカーは存在しなかったため、鼻粘膜擦過細胞のLPCAT2のメチル化の測定は、アレルギー性鼻炎の治療方針について補助的な役割を果たすと考えられる。 2020年度は、この内容の論文にまとめ、American Journal of Rhinology & Allergyへ投稿し採用された。(LPCAT2 Methylation, a Novel Biomarker for the Severity of Cedar Pollen Allergic Rhinitis in Japan)また同時に、アレルギー性鼻炎の疫学について研究をすすめた。第47回山梨医学会にて1998年と2020年における花粉症患者の年齢層や発症年齢について検証した結果、いずれも低年齢化をきたしている可能性について報告した。
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