制御性T細胞(Treg)は、その免疫制御活性により、免疫系の恒常性維持や免疫寛容に重要な役割を担っている。近年、ST2(IL-33受容体)とFoxp3の発現により、ST2+ Tregsの存在が知られている。IL-33の存在下では、ST2+ Tregsは免疫抑制活性を失い、Type2炎症を誘発する。好酸球性副鼻腔炎の病態生理における制御性T細胞の免疫抑制機能を明らかにすることを目的に検討を行った。 ST2+Tregでは、ST2-Tregと比較して、IL-5およびIL-13の発現が高く、ST2+Tregが2型サイトカインであるIL-5およびIL-13を産生することが示された。ST2+Tregの多くは、メモリーT細胞のマーカーであるCD45ROを発現しており、ST2+Tregがメモリー機能を有していることが示唆された。Th2細胞、ST2+TregおよびTr1の役割を調べるために、好酸球性副鼻腔炎および非好酸球性副鼻腔炎患者の鼻茸におけるTh2 、Foxp3+ Treg 、ST2+Treg およびTr1 の割合を比較検討した。CD4+ T細胞におけるTh2細胞の割合は、非好酸球性副鼻腔炎患者のものと比較して好酸球性副鼻腔炎患者で有意に増加していた。CD4+ T細胞中のFoxp3+ Tregの割合は差がなかったが、ST2+Tregの割合は、非好酸球性副鼻腔炎患者の鼻茸およびコントロール被験者の鈎状突起のものと比較して、好酸球性副鼻腔炎患者の鼻茸で有意に増加した。好酸球性副鼻腔炎患者の鼻茸では、Foxp3+ Treg細胞中のST2+Tregの比率が有意に上昇し、Foxp3+ Treg細胞の60%以上がST2+Tregで占められていた。 好酸球性副鼻腔炎における、ST2+Treg の増加とTr1の減少は、過剰な2型炎症の抑制機構が損なわれている可能性がある。
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