BMP8Bを介した骨芽細胞による好酸球性副鼻腔炎難治メカニズムの解明について、引き続き研究を行っている。これまで、好酸球性副鼻腔炎の組織において、蛍光免疫染色を用いることでBMP8Bがどの細胞に発現しているかについて評価を行った。その際、EEtosisと呼ばれる細胞死をきたしている好酸球がBMP8Bをprominence様に放出していることが確認された。なお、BMP8Bは上皮細胞や腺組織にも分布が確認された。BMP8Bの受容体の分布を組織学的に評価し、上皮細胞、特に基底細胞側に受容体が存在することを確認した。このことから、好酸球からのBMP8Bの分泌と、上皮細胞の反応性が好酸球性副鼻腔炎における炎症に寄与しているものと考えた。TGFβファミリータンパクであるBMPは、TGFβ同様に炎症に対して抗炎症作用、炎症促進作用をともに有しており、その働きは環境や対象細胞によって異なる。今回我々は、上皮細胞と好酸球において、BMP8Bがどのような働きをするのかについて、液性因子を中心とした振る舞いを評価することとした。 BMP8Bによる上皮の刺激と、その応答をCBAという手法を用いて検討し、BMP8Bがどのような液性因子を誘導するかについて検討し、炎症性サイトカイン、あるいは抑制性のサイトカインの分泌を確認した。上記を踏まえ、BMP8Bの存在が好酸球性副鼻腔炎の炎症機序にどのように関わるかについて、論文化を進める予定である。
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