研究実績の概要 |
食道癌、下咽頭癌はいずれも飲酒、喫煙により発生することが知られ、同時に重複癌として発生することが多い。その食道癌、下咽頭癌の発がん様式の違いを検討するため、両腫瘍を重複し、手術検体が入手できる症例を、神戸大学、県立がんセンターから12例を抽出した。手術標本からDNAを抽出し、Ion AmpliSeq Cancer Hotspot Panel v2を用いて、網羅的に遺伝子変異を調べる作業を行い、変異部位のデータがそろっている。この結果について、現在解析作業を進めている段階である。 現在頭頸部癌の領域において遺伝子変異としてEGFR,TP53,PCDH8、PRB4, NSD1, REC8, ZNF772, ZNF69, EI24, CYFIP2, NEFH, KRTAP4-5など多数の報告がある。また重複癌として多く見られる食道癌の分野においてもPIK3CA,EGFR、MT CYTB, MT ND5、CNR1等多くの報告がみられる。それらの遺伝子変異により予後の差や、EGFRなど変異部位をターゲットとした治療が行われている。ただ双方に共通した遺伝子変異や、重複癌における遺伝子変異の共通性について報告した論文は渉猟しえた範囲ではなく、本研究はいままで世の中で行われていないものであり、頭頸部癌、食道癌また重複癌における新たな見地を発見するに至る重要な研究となると考えており、結果の解析により新たな見地が得られることを期待している。
|