研究課題/領域番号 |
20K18288
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
中村 雄 宮崎大学, 医学部, 助教 (50750931)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | MFT / 内耳奇形 / スクリーニング |
研究実績の概要 |
本年度は、内耳奇形例として29例55耳の前庭水管拡大症及び、74例102耳のコントロール例のデータを収集した。前庭水管拡大症群とコントロール群のアブゾーバンスの比較において、226-890.9Hzのアブゾーバンスが前庭水管拡大症群で有意に高く、2448.11-4237.85Hzのアブソーバンスにおいて前庭水管拡大症群が有意に低かった。最大アブゾーバンス周波数(MAF)、共振周波数(RF)、最大アブゾーバン率(MAR)におけるコントロール群と前庭水管拡大症群の群比較をt 検定を用いて行った結果、MAFは両群間に有意差を認められなかったが、RFは前庭水管拡大症群と比較しコントロール群と比較し有意に低かった (p<0.001)。また、MARは前庭水管拡大症群がコントロール群と比較し有意に低かった (p<0.05)。 WBTを用いた前庭水管拡大症群の診断においてRF、MARを独立変数としてROC解析を行った。RFを独立変数としたROC解析において、カットオフ値を820.4とした時の感度と特異度はそれぞれ75.5%、69.1%、AUC値は0.752であり、中精度の診断が可能であった。またMARを独立変数としたROC解析において、カットオフ値を0.9187とした時の感度と特異度はそれぞれ 59.5%、69.1%、AUC値は0.637であり、診断精度は低精度であった。 前庭水管の拡大程度と458.5Hzのアブゾーバンス値の相関についてSpearmanの順位相関分析を用いて検討をした結果、優位な相関を認めなかった。一方でRFと前庭水管の拡大程度の相関についてSpearmanの順位相関分析を用いて検討したとろ、優位な負の相関を認めた(相関係数-0.302)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、29例55耳の内耳奇形症例(全例、前庭水管拡大症にて以下、前庭水管拡大症群)及び、74例102耳のコントロール例のデータを収集した。また、収集したデータを解析した結果、前庭水管拡大症群とコントロール群の2群間で、アブソーバンスや共振周波数 (RF) が異なることが明らかとなり、それらを独立変数とした診断可能性が示唆された。 以上より、現在までの進捗は概ね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
症例のリクルートや解析は概ね順調であるが、その一方で前庭水管拡大症以外の内耳奇形例のリクルートが今後の課題である。令和3年度の研究計画に則り、引き続き対象およびコントロールのリクルートを行うと共に、最も症例収集が進んだ前庭水管拡大症においては、WBTのデータと前庭水管の拡大程度以外に、聴力や前庭症状など臨床症状との相関についても追加解析を加える。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの流行に伴い、国内外への学会発表を見合わせたため。 必要図書の購入及び、学会発表費、論文投稿費として使用する予定である。
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