研究課題/領域番号 |
20K18292
|
研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
冨山 克俊 獨協医科大学, 医学部, 助教 (30850888)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 味質 / 大脳皮質味覚野 / 神経細胞活動 / イメージング |
研究実績の概要 |
マウスの大脳皮質味覚野における味覚刺激時の誘発反応を領域イメージング法にて可視化する実験系を構築した。具体的には、二光子励起顕微鏡を用いた生体イメージングにより、味覚刺激物質投与時の大脳皮質一次味覚野活動を観察する。生体下においてマウスの神経細胞活動を観察するために、緑色カルシウム感受性蛍光タンパク質GFP-based Calcium Calmodulin probe(GCaMP: 細胞や生体分子を蛍光標識する緑色蛍光タンパク質であるGFPを遺伝子工学的に改変させた緑色蛍光Ca2+センサー)をコードする遺伝子をアデノ随伴ウイルスを用いて大脳皮質味覚野に注入し発現させる。このマウスに対し、すでに確立している大脳皮質生体内リアルタイムイメージング法と二光子励起顕微鏡を組み合わせ、神経の応答をCa2+の蛍光輝度の変化としてとらえ、覚醒下において大脳皮質味覚野における神経活動を可視化する実験系の構築を行った。味覚野はマウス側頭部に位置しているため、頭蓋窓を作製することが大変難しく、また顕微鏡下でin vivoで観察するための固定用チャンバーを接着することに難渋した。長期の繰り返しイメージングではなく、頭蓋窓を作製直後にイメージングを行う方法に変更した。また、味刺激は塩酸キニーネとスクロースのみを使用し、味覚誘発反応を取得することを目指していたが、味覚野には味覚マップが存在することが知られており、その他の味質においても同様に実験系を確立していく。ケージ内に真水・味添加水の2つのボトルを設置し、リック解析式二瓶嗜好実験システムを用いてマウスの各ボトルの飲水量を計測することに成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
生体イメージング法に要する技術の習得に時間を要した。特に、マウス大脳皮質味覚野の同定方法の検討、安定した手術法の確立、カルシウム感受性タンパク質の注入速度と濃度の検討に時間を要した。
|
今後の研究の推進方策 |
味覚障害モデルマウスを用いた行動実験とイメージングを行い、コントロールとの比較検討を行う。また、発達期における味質曝露されていない時期における神経細胞活動の可塑性についても検討していきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
値引き交渉により費用が抑えられたため。 構築した実験系を用いて、現在の実験を継続しさらに複数のデータを取得する必要がある。新たに構築した実験系を用いて継続して研究を行っていくための、物品・試薬に充当する。
|