研究課題/領域番号 |
20K18297
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
福井 研太 関西医科大学, 医学部, 助教 (30867437)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 甲状腺癌 / レンバチニブ / α線放出核種 / アスタチン211 / 併用療法 |
研究実績の概要 |
本研究では難治性甲状腺癌に対する新たな治療法の確立を目指し、α線放出核種であるアスタチン211(211At)と分子標的薬の併用療法による抗腫瘍効果を検討する。また従来甲状腺癌治療薬として用いられている131Iと分子標的薬の併用療法の効果についても検証する。2020年度は主に131Iと分子標的薬レンバチニブの併用療法につき検討をおこなった。甲状腺癌細胞株を用いたin vitroでの検討においては、シンチレーションカウンター(WIZARD1480)を用いてレンバチニブ投与後の細胞内外のRI値を測定し、薬剤投与により細胞内への放射性ヨウ素(125I)の取り込み率が上昇することを明らかにした。またin vivo実験においては甲状腺癌培養細胞を免疫不全マウスの皮下に移植し、甲状腺癌ゼノグラフトモデルを作製した。本モデルマウスを用いてレンバチニブと131Iの併用療法の抗腫瘍効果につき検討をおこなっている。2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響により動物実験等を中断せざるを得なかったため、211Atを用いた実験をおこなうに至らなかった。本研究は短寿命RI供給プラットフォームの共同研究として採択されており、共同研究機関より供給された211Atを用いて、今後in vitro/in vivo実験をおこなう予定である。甲状腺由来細胞はナトリウム-ヨウ素共輸送体(NIS)を介して131Iと同様に211Atを取り込むことが報告されており、131Iと同様の実験方法を用いて、レンバチニブ投与による細胞内への211At取り込み率の変化をin vitroで解析する。In vivo実験としては甲状腺癌ゼノグラフトモデルを用いて211Atと分子標的薬(レンバチニブ)の併用療法による抗腫瘍効果を比較検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は主に131Iと分子標的薬レンバチニブの併用療法につき検討をおこなったが、新型コロナウイルス感染症の影響により動物実験等を中断せざるを得なかったため、211Atを用いた実験をおこなうに至らなかった。2021年度は共同研究機関より供給された211Atを用いて実験をおこなう予定である。
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今後の研究の推進方策 |
In vitro実験ではレンバチニブ投与による細胞内への211At取り込み率の変化につきシンチレーションカウンターを用いて解析する。In vivo実験ではSPECT/CTによる経時的な画像評価を行うとともに、211Atとレンバチニブの併用療法の抗腫瘍効果を検討する。SPECT/CTでは211At投与群において211Po(211Atの娘核種)を放射性トレーサーとして用い、薬剤投与後の核種の生体内動態を視覚的および定量的に評価する。また、摘出した腫瘍を用いて免疫組織化学(Ki67、NIS、血管内皮マーカーCD31など)による病理組織学的検討を行うことにより、治療効果を客観的に評価する予定である。
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