研究課題/領域番号 |
20K18298
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
河内 理咲 関西医科大学, 医学部, 助教 (70620756)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | OSA / FENO / 鼻腔FENO / 重症睡眠時無呼吸 |
研究実績の概要 |
OSAは近年ますます増加傾向にある疾患である。OSAの病態を詳細に把握するにはPSGが必須であると考えられているが、入院を要するため検査できる施設には限りがあり、すべての症例に検査することは困難である。そこで、OSAの病勢をPSG以外の検査で把握する方法がないかという考えに至り、OSAにおいてFENO値の変動が認められること、特に鼻腔におけるNO産生が増加することに着目し、鼻腔NOがOSAの病態を反映するのではないかと推測した。 本研究に先立ってOSA患者における鼻腔NO値を推算し、その病勢マーカーとしての有用性について検証した。AHIで分類された重症度の高いOSA症例において鼻腔NOは高値を示し、CPAP治療に至った症例に関しては、治療導入後に有意な低下を認めた(図2:河内理咲 他.OSAS患者における病勢マーカーとしての鼻腔NO.口咽科2017;30(2):221 ~ 225)。睡眠中に反復する上気道閉塞に起因する酸化ストレスや炎症性サイトカインの上昇が、局所の気道粘膜においてiNOS発現の誘導、NO産生の亢進をもたらすと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
重症無呼吸患者に対し、呼吸抵抗や採血、呼吸機能検査、FENOを測定し、治療導入後にcpap治療が良好な症例に対し治療後のデータを測定している。治療脱落症例もあり、またコロナ感染症蔓延の影響で通院間隔の延長などもあり症例収集が遅延していたが、徐々に症例も集まっているため、治療前後でのデータの比較検討を進めている最中である。
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今後の研究の推進方策 |
重症睡眠時無呼吸のCPAP治療の前後での各種データ採取に加え、治療前後での鼻粘膜擦過液サンプル採取も施行している。徐々に症例も蓄積されており、データの比較検討を予定している。最終年度に向けてまとまったデータの解析と更なるデータ収集に加え、コントロール群として健常人サンプル採取にも取り掛かります。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度はコロナ感染蔓延の影響で新規に紹介される無呼吸患者数の減少を認めた。データ収集が進行しない分、試薬の使用や検査機器の使用の頻度も低くなっていた。次年度の予定としては、NIOX Veroのテストキット100(20万円)の購入、鼻粘膜採取した際の上清成分中のサイトカインやケモカインの測定するためのキット(マルチプレックスイムノアッセイシステムを用いた解析)(30万円)の購入、鼻粘膜採取後の上皮細胞の培養用消耗品(10万円)の購入、上皮細胞のRNA抽出、cDNA作成、RT-PCR用の試薬(20万円)の購入、次世代シークエンサーを用いた炎症関連遺伝子の網羅的解析(40万円)の購入を予定しています。
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