• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

がん糖代謝能に基づいた頭頸部がん微小環境における免疫状態の解析

研究課題

研究課題/領域番号 20K18307
研究機関岐阜大学

研究代表者

大橋 敏充  岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (80707860)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード頭頸部癌 / 腫瘍免疫 / がん代謝 / がん微小環境
研究実績の概要

がん組織では自身のエネルギー代謝の改変することが、免疫抑制を誘導など様々な経路を介してがんの進展に関与していることが明らかになってきている。本研究では、細胞外フラックスアナライザーを用いて、患者由来がん細胞の糖代謝能を、解糖系・ミトコンドリア呼吸にわけて、直接測定する。その結果から、糖代謝のタイプに分類し、それぞれにおける微小環境の免疫状態を解明することを目的としている。その結果、解糖系が亢進した症例はミトコンドリア呼吸も同様に亢進、解糖系が低下した症例はミトコンドリア呼吸も同様に低下いることがわかってきた。当初想定していた糖代謝に基づいた4つのタイプ(糖代謝休止、解糖系亢進、ミトコンドリア呼吸亢進、糖代謝亢進)に分類することは実際には困難であることがわかった。
また並行して網羅的メタボローム解析を行ってきた。この方法は、組織中の代謝物質の種類や濃度を網羅的に測定・分析を行う事が可能である。網羅的メタボローム解析は、頭頸部扁平上皮癌23例、正常咽頭組織6例を用いて比較検討をおこなった。さらに、同じ症例を用いて、リアルタイムPCRによる代謝酵素などの遺伝子発現測定も追加し、頭頸部がん組織での代謝状態を多方面から解析を行った。その結果は、頭頸部癌組織では正常咽頭組織と全く異なる代謝状態であることが明らかになり、それらはOral Diseasesにて論文発表をおこなった。
研究が進むことで、代謝タイプにより最適な治療法が検討されるようになり、また代謝を改変することで治療効果を高めることに繋がると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

頭頸部癌の代謝状態の評価として、網羅的メタボローム解析、代謝酵素などの遺伝子発現解析をおこなった。頭頸部扁平上皮癌組織では様々なエネルギー回路(解糖、五リン酸経路、トリカルボン酸サイクル、グルタミン代謝)が亢進していることが明らかになった。また、がん代謝物として知られる乳酸、コハク酸、グルタチオン、2-ヒドロキシグルタル酸、S-アデノシルメチオニンなどが増加・蓄積していることが明らかになった。これらの結果は、Oral diseasesに掲載された(Metabolic profiling analysis of head and neck squamous cell carcinoma. http://doi.org/ 10.1111/odi.14432)。
代謝によるタイプ分類はできないかわりに、細胞外フラックスアナライザーの結果と糖取り込みを評価しているFDG-PET/CT、組織中の代謝酵素などの遺伝子発現解析との関連性を評価することで、がん組織の代謝機能をFDG-PET/CTがどれくらい反映しているかを検討している。
がん組織における代謝状態に関する解析は順調に進んでいるが、一方で免疫状態における評価が全くできてない。そのため「遅れている」と判断し、研究期間を延長した。

今後の研究の推進方策

がん組織の代謝に関する解析は順調に進んでいる。しかしながら、当初の予想とは異なる結果も出てきていて、どのように対応するか検討中である。
臨床応用の手段として、細胞外フラックスアナライザー、網羅的メタボローム解析の結果とFDG-PET/CTとの関連性を検討しようと考えています。
また現在のところ、免疫状態に関する解析が全くできていないので、組織中の免疫細胞の解析を今後行う予定です。

次年度使用額が生じた理由

臨床業務が忙しく研究が計画通りにすすんでいないためと考える。
3年計画であったが、1年計画を延長した。消耗品に使用するのと、解析に使用していたパソコンが老朽化してきたので買い替えを考えている。また研究をまとめて発表する予定なので、学会参加費、論文の英語校正や投稿費に充てる予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 4件)

  • [雑誌論文] Usefulness of intraoperative monitoring for mesenteric lymph node metastasis in transplanted free jejunum2023

    • 著者名/発表者名
      Iinuma Ryota、Kato Hisakazu、Yamada Tatsuhiko、Sato Yuta、Tanaka Yoshihiro、Kato Hiroki、Kuroki Masashi、Shibata Hirofumi、Kohyama Keishi、Ohashi Toshimitsu、Ogawa Takenori
    • 雑誌名

      Auris Nasus Larynx

      巻: 50 ページ: 827~830

    • DOI

      10.1016/j.anl.2022.12.011

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Genetic Panel Test of Double Cancer of Signet-Ring Cell/Histiocytoid Carcinoma of the Eyelid and Papillary Thyroid Carcinoma: Case Report and Literature Review2022

    • 著者名/発表者名
      Kuroki Masashi、Shibata Hirofumi、Kuze Bunya、Ohashi Toshimitsu、Kohyama Keishi、Kato Hisakazu、Kato Hiroki、Miyazaki Tatsuhiko、Tomita Hiroyuki、Ogawa Takenori
    • 雑誌名

      Cureus

      巻: 14 ページ: e25192

    • DOI

      10.7759/cureus.25192

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Serum Fibrinogen Level and Cytokine Production as Prognostic Biomarkers for Idiopathic Sudden Sensorineural Hearing Loss2022

    • 著者名/発表者名
      Okuda Hiroshi、Aoki Mitsuhiro、Ohashi Toshimitsu、Ogawa Bakushi、Shibata Hirofumi、Ueda Natsuko、Hayashi Hisamitsu、Nishihori Takezumi、Kuze Bunya、Ohnishi Hidenori、Ogawa Takenori
    • 雑誌名

      Otology & Neurotology

      巻: 43 ページ: e712~e719

    • DOI

      10.1097/MAO.0000000000003552

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Immune‐modified Glasgow prognostic score: A new prognostic marker for head and neck cancer2022

    • 著者名/発表者名
      Terazawa Kosuke、Ohashi Toshimitsu、Shibata Hirofumi、Ishihara Takuma、Ogawa Takenori
    • 雑誌名

      Head & Neck

      巻: 44 ページ: 2555~2563

    • DOI

      10.1002/hed.27170

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Bilateral Recurrent Laryngeal Nerve Paralysis Manifesting as Long COVID2022

    • 著者名/発表者名
      Okuda Hiroshi、Kunieda Chikako、Shibata Hirofumi、Ohashi Toshimitsu、Ogawa Takenori
    • 雑誌名

      Cureus

      巻: 14 ページ: e27792

    • DOI

      10.7759/cureus.27792

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Metabolic profiling analysis of head and neck squamous cell carcinoma2022

    • 著者名/発表者名
      Ohashi Toshimitsu、Terazawa Kosuke、Shibata Hirofumi、Inoue Norimitsu、Ogawa Takenori
    • 雑誌名

      Oral Diseases

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      10.1111/odi.14432

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A Case of Thyroid Carcinoma Showing Thymus-Like Differentiation With Breast Cancer Susceptibility Gene 2 Mutation: A Case Report and Literature Review2022

    • 著者名/発表者名
      Kuroki Masashi、Shibata Hirofumi、Iinuma Ryota、Okuda Hiroshi、Ohashi Toshimitsu、Ogawa Takenori、Horikawa Yukio
    • 雑誌名

      Cureus

      巻: 14 ページ: e30655

    • DOI

      10.7759/cureus.30655

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Nonsurgical Treatment Strategies for Elderly Head and Neck Cancer Patients: An Emerging Subject Worldwide2022

    • 著者名/発表者名
      Okuda Hiroshi、Shibata Hirofumi、Watanabe Takahiro、Terazawa Kosuke、Mori Kenichi、Ueda Natsuko、Ohashi Toshimitsu、Ogawa Takenori
    • 雑誌名

      Cancers

      巻: 14 ページ: 5689~5689

    • DOI

      10.3390/cancers14225689

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi