研究課題/領域番号 |
20K18310
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
當山 昌那 滋賀医科大学, 医学部, 客員助教 (60838275)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 好酸球性副鼻腔炎 / 酪酸 |
研究実績の概要 |
アレルギー性鼻炎、非好酸球性副鼻腔炎、好酸球性副鼻腔炎の手術患者から手術前に全身麻酔のかかった状態で鼻洗浄液を採取した。鼻洗浄液中の酪酸の濃度とプロテインの濃度をそれぞれELISAを用いて調べ、その結果を用いてプロテイン1mgあたりの酪酸の濃度を計算した。各疾患ごとに酪酸の濃度を比較すると好酸球性副鼻腔炎の鼻洗浄液中の酪酸の濃度が他の二つと比べて優位に低いことがわかった。この結果から好酸球性副鼻腔炎はアレルギー炎症の抑制効果が期待されている酪酸が少ないことで起きている可能性、もしくは酪酸産生菌が少ないことで起きている可能性が示唆された。 非好酸球性副鼻腔炎のPBMCを採取し、酪酸を0mM、0.1mM、1mM、5mM、10mMを投与し生存細胞を調べる実験を行なった。PBMCをそれぞれの酪酸濃度の投与下に72時間培養した後、AnnexinVとpropidium Iodideで染色しFACSでapoptosisした細胞を調べた。酪酸の濃度が10mMを超えると有意に生存細胞数が減少し、5mMを超えるとapoptosisする細胞が有意に増加することがわかった。この結果を踏まえて、酪酸の最大投与濃度を1mMとした。 非好酸球性副鼻腔炎のPBMCに0.01mM、0.1mM、1mMの酪酸を加え、コントロール群と比較し制御性T細胞が増加するかをFACSを用いて調べた。細胞の培養にIL-2、TGFーβを投与し、48時間培養を行なった。その結果、制御性T細胞は増加傾向にあったが、有意差を確認することはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
患者検体の採取が完了しており、実験がすでに始まっている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究で結果が出なかった制御性T細胞の増加を別の検体を用いて、培養時間を変えてもう一度確認する。 ILC2や病原性Th2細胞など、個々の細胞に関して酪酸投与の影響を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナでの非常事態宣言下において、発表のための学会参加が行えなかった。また、研究室で他の研究で余ったELISAキットや抗体を使用し予備実験を主に行なっていたため今年度の支払いを行わずに次年度へ繰り越す形となった。次年度は検体の母数を増やしてELISAを行うため、キット購入に予定されていた金額以上の請求を要する可能性がある。また、予備実験及びいくつかの本実験で得られた結果を学会等で報告するために
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