研究課題/領域番号 |
20K18311
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河合 良隆 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (50862223)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | バリア機能 / 声帯 |
研究実績の概要 |
昨年度は声帯上皮粘膜の上皮バリア機能の傷害と治癒過程を観察するためのin vitroモデルにて、タイトジャンクション機能が傷害後どのように変化するのか評価することを目的に 透過型電子顕微鏡にて細胞微小構造を観察することや、ビオチン化試薬透過性試験を試みた。電子顕微鏡での観察については正常状態での観察は可能であったが、傷害後の観察は変性が強く観察が困難であった。ビオチン化試薬透過性試験に関しては培養細胞が非常に薄い構造であるため、透過評価がうまくできず断念した。 昨年以前の研究成果をあわせた概要は以下の通りである。声帯粘膜上皮由来培養細胞の上皮バリア機能はpH4の培地を一定時間曝露するという酸傷害で経上皮電気抵抗(TEER)が80%程度まで悪化するという機能低下を認めるが細胞死はLive dead stainで増加しないことを確認した。さらにTEERは24時間後に回復することを確認した。さらに、2mg/mlペプシン付加することでTEERは酸単独より悪化し60%前後になることがわかった。一方で細胞表面に有る微絨毛を走査型電子顕微鏡で確認すると酸傷害で微絨毛は減少するが、ペプシンの付加を行っても微絨毛の減少程度は酸傷害単独時のそれと同等であった。上皮バリア機能に影響を与える傷害は様々な種類があり、傷害の種類によって機能不全に陥る部位に違いが有ることがわかった。 現在分かっている内容で論文にまとめるため現在研究内容をまとめて論文執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
培養した声帯粘膜上皮を透過型電子顕微鏡にて観察し タイトジャンクションやアドヘレンスジャンクションなど上皮バリア機能に関与する細胞微小構造を観察することを試みた。傷害を行っていない状態での構造は確認可能であったが、傷害したあとの細胞は構造が変化しており上記の構造が残っているのか破壊消失しているのか判定が困難であり評価不能という結論に至った。 ビオチン化試薬透過性試験は培養細胞の層が薄く、透過しているのかどうか判定が困難であったため評価を断念した。 現在、すでにわかった研究成果を論文の体裁にまとめるべく執筆作業中である。
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今後の研究の推進方策 |
現在の時点でわかっている研究成果を元に論文を執筆中で、完成次第英文査読付き専門誌に投稿を予定している。論文をまとめる過程で再度文献を渉猟し、現在試していない評価方法が渉猟文献中に有るようならば、追加実験として行うつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在論文を執筆中では有るが、その投の際には英文校正費用が必要で、追加実験が必要な場合もあるためそちらの準備金が必要となる。さらに近年は論文が受理されても、追加で費用が発生する専門誌が多く、円安の進行でその金額が非常に高額であるため準備金が必要となる。
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