ヒトの蝸牛有毛細胞は一度失われると再生しないことが分かっており、近年induced pluripotent stem (iPS) 細胞等の幹細胞を用いた研究が急速に発展を遂げており、in vitroで内耳有毛細胞に分化させる技術が様々な施設で報告されている。マウス幹細胞はトリ内耳内で有毛細胞に分化することが示されているが、哺乳類の内耳内で蝸牛有毛細胞まで分化したという明確な報告はほとんど無いのが現状である。今回分化させたヒト多能性幹細胞をマウス胎生期内耳に移植することで移植細胞がコルチ器に生着し、有毛細胞に分化するのかを検討するのが目的である。 これまで、In vitroの研究では共同研究先の慶応大学にてすでにヒトiPS細胞から内耳前駆細胞への分化誘導に成功しており、PCR、免疫細胞化学染色にて内耳前駆細胞マーカーの発現を確認した。また、現在当科で輸送後の細胞を解凍し細胞の生存に問題がないことを確認できている。更に、レシピエントとなる野生型のマウスを飼育中で妊娠出来次第細胞を投与し今後評価を行う予定である。
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