Agedマウスが安定的に入手できるC57BL/6Jに変更し研究を施行した。高齢者の肺炎球菌感染症予防ワクチンであるPPSV23(ポリサッカライド23種類含有)腹腔投与における全身免疫効果についてELISA法にてPPS特異的な血清IgGを評価した。結果、血清IgGはcontrol群と比較し上昇を認めたが、2^10倍より低く充分な免疫が確認できなかった。抗原量が少ないためと考えPPS3 powderを用いて抗原量を5倍程度に調整しPPS3に対する全身免疫効果を計測したが十分な免疫効果が得られなかった。またPPSV23及びPPS3powder経鼻投与についても十分な血清IgGの上昇を認めず、唾液中の分泌型IgAも検出されなかった。他施設等の報告でも、PsPAやPCに対する分泌型IgAを誘導している抗原はいずれも抗原にペプチドを結合している点に注目し方針を変更した。PCV13(肺炎球菌結合型ワクチン)を用いて全身免疫及び粘膜免疫誘導を評価した。PCV13の腹腔投与単独群、腹腔投与後経鼻投与群、PCV13原液経鼻投与群にていずれも血清IgGは上昇するが、唾液中の分泌型IgAの検出はみられなかった。経鼻投与にはアジュバントとしてコレラトキシンを用いた。抗原量を増やすためPCV13の18倍濃縮群、54倍高濃縮群で経鼻投与を行い、血清IgG上昇及び分泌型IgAの有意な上昇を認めた。血清IgAの群間差は認めなかった。またYoungマウスでPCV13高濃縮腹腔投与群、PCV13高濃縮経鼻投与群を比較した所、いずれもControl群と比較し有意な血清IgG上昇がみられ、一方で血清IgAは有意差がみられなかったが、唾液中IgAに関しては経鼻投与群で有意な上昇を認めた。分泌型IgAが全身ではなく局所的な免疫システムで産生されていることが示唆された。
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