研究課題/領域番号 |
20K18318
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
上原 貴行 琉球大学, 医学部, 委託非常勤講師 (00644402)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | HPV関連頭頸部癌 / mTOR / Raptor |
研究実績の概要 |
HPV関連頭頸部癌に関する我々の過去のin vitro研究では、細胞増殖シグナルの一つであるPI3K/Akt/mTOR経路に関連して、mTOR阻害剤の効果がHPV非関連癌より関連癌で有意に高く、かつmTORの腫瘍促進効果において重要なmTORC1の構成因子として知られているRaptorの発現が亢進していることを同定した。これを踏まえ、我々はmTORおよびRaptorを標的として関連した細胞内シグナル伝達経路の解析と、併せて阻害剤やRaptorに対する直接の遺伝子ノックダウンの手法を用いることで特異的なシグナル伝達系の解析および将来的に新規の分子標的治療の開発を目的として研究を計画した。 研究方法の計画・進捗:HPV関連頭頸部癌におけるmTOR/Raptorに関連した細胞内シグナル伝達系の解析として、先行研究からRaptorが高発現しているHPV16感染頭頸部癌細胞株UMSCC047と低発現のSAS細胞株にmTOR阻害剤(テムシロリムス)およびRaptorに対するsiRNAを用いノックダウンを行い、mTORの下流シグナルの解析をWestern blottingアッセイにて解析し、併せて細胞増殖やアポトーシスに関する解析を計画した。阻害剤を用いた実験については、mTORアナログ製剤であるテムシロリムスのみでは高容量になるとnegative feedbackによりAkt経路などの細胞増殖経路を活性化することが懸念されるため、別の作用機序を持つmTOR阻害剤(PLD阻害剤)による効果をWST-1や細胞周期・アポトーシス解析実験にて検討する予定とした。WST-1試験ではHPV関連株では非関連株と比較し、上述のmTOR阻害剤の併用により相乗的な増殖抑制効果が確認された。今後免疫不全マウスへの皮下腫瘍移植モデルを用い、in vivoでの腫瘍抑制効果についても検討を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
阻害剤を用いたin vitro研究についてはmTORアナログ剤であるテムシロリムスとPI3K-AKTシグナルのnegative feedbackなどの問題点を解消するために併用したPLD阻害剤の併用を行うことなどで良好な結果は得られており順調な進捗状況であるが、siRNAでのRaptorを直接阻害する実験についての検討などは一部遅れており、並行して研究を進める必要があり課題と考える。
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今後の研究の推進方策 |
現在mTOR阻害剤を複合で用いた抗腫瘍効果についてin votroでの有効性試験を進めており、WST-1試験で指摘条件の検討につき結果を得ている。その結果を元にHPV関連頭頸部癌においてより特異性の高い抗腫瘍効果のメカニズムについて、特にPI3K-AKT経路とmTOR経路を中心にした分子メカニズムの解析を進めていく予定である。これと併せてsiRNAでのRaptorの選択的阻害による事象の解析と抗腫瘍効果についても検討を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
4年計画での3年目の時期であり、実験試薬については他の研究で使用している薬剤の使用するなどで残金が生じた。最終年度に繰り越したうえで有効に使用を計画していく。
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