研究課題/領域番号 |
20K18329
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
阪本 大樹 関西医科大学, 医学部, 助教 (80809997)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ILC2 / CD69 / 好酸球性副鼻腔炎 |
研究実績の概要 |
報告者らは、以前にECRS鼻茸組織中ILC2が高純度で含まれている鼻茸組織単球分画を分離することを確立している。令和3年度はこれを用いて、ECRS鼻茸組織から 高純度でILC2を単離する精製方法の開発およびILC2に発現するCD69の解析をおこなった。鼻茸組織単球分画に含まれるILC2をLin-CD45+CD294+CD161+CD127+としてFlow cytometerを用いてGatingをおこない単離に成功した。 ECRS患者からの末梢血を用いてPBMCよりILC2の単離も同時におこない、ECRS鼻茸組織中のILC2のCD69の発現をFlow cytometerを用いて解析した。 結果、末梢血のILC2と比較してECRS鼻茸組織中のILC2はCD69が高発現していた。 さらには、ILC2のCD69の発現量と比較して、組織中に浸潤する好酸球数の値との間に正の相関を認めた。 この結果は、ECRS組織中ILC2は活性化し、種々のサイトカインにより組織中の好酸球を浸潤・活性化していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19感染症の世界的な流行のため、鼻副鼻腔手術での十分な患者サンプルが獲得出来なかったことに加え、生体内のILC2自体がごく少数の細胞であるために、獲得数が少なく十分なクオリティーの研究が施行できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
ECRS組織中ILC2をcell soterを用いて単離をおこなう。IL-2などのILC2の増殖因子を用いて、分離培養を行い実験をおこなう。 実際には、種々の刺激物質を加え、ECRS組織中ILC2のサイトカイン放出能や生存能の評価をおこなう。 さらに、CD69に特異的なLigandもしくはCD69抗体を用いてILC2の刺激をおこない、上記項目を評価する。この研究により、ILC2におけるCD69の機能的役割を解明することができ、ILC2の活性化の抑制といった疾患の制御法の確率をめざす。 そのため、ECRS患者のサンプルの獲得数を増やしていくことを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
ECRS組織中ILC2の単離および培養およびその後の解析に、次世代シーケンサーを用いた実験を予定しており、種々の高額な物品が必要であるため次年度使用額として繰り越した。
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