研究実績の概要 |
山形県内で未熟児網膜症スクリーニングの眼底検査を受けた児の全例集計を行った(多施設研究)。山形県内にある4つの新生児集中治療室 (NICU)を対象施設とした。当初集計した未熟児網膜症の発症、治療、児の出生状況などの基本項目のデータだけでなく、詳細な臨床データ(各種薬剤の使用、人工呼吸器の着脱、眼科の診察回数・時期、眼科領域以外での治療の有無、母体因子など)を追加収集して解析に用いた。合計215名のデータセットを用いて、未熟児網膜症の発症率、治療率などの記述的統計解析に加えて、推論(Inference)および予測(Prediction)の2つのアプローチで解析した。推論としては、未熟児網膜症の発症率に関わる各種リスク因子の解析を行った。予測としては、シンプルな回帰モデルだけでなく複数の機械学習モデルを用い予測モデルを構築した。具体的な機械学習モデルとして、Decision Tree (Single Tree), Random Forest, Gradient-boosted Tree, Support Vector Machine, Neural Network等を使用した。215名と機械学習を行うにはやや少ないデータ量であったため、Cross-validationの使用や200回繰り返した結果の平均をとるなど、バイアスを減らす試みをアルゴリズムに組み込んだ。研究を遂行するための統計ソフトウェアについて、R, Stata, SAS, JMP等の複数のソフトを使用して吟味した結果、拡張性の高さや出力フォーマットの体裁の点から、最終報告についてはRを使用することに決定した。予測モデル構築の研究については、結果を国際誌に論文を投稿し審査待ちの状況である。
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