研究課題/領域番号 |
20K18339
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
五十嵐 多恵 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師(キャリアアップ) (00771502)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 学童近視 / 一次予防 / 近視進行抑制治療 |
研究実績の概要 |
近視が世界的に急増しており、東アジア先進諸国では若年者の近視の有病率は9割、強度近視の有病率は2割となった。これら諸国では小児の近 視を抑制すべく 国家的戦略や対策が10年前から実行されている。しかし日本では学童近視の有病率は不明で、近視を抑制する重要性も国家レベ ルで認識されていない。眼科機 器の進歩により、近視の重症度を評価する有用な指標である眼軸長などの測定も極めて短時間で非侵襲に可能と なっていることから、全国の複数地域におい て、学童近視の頻度、重症度を明らかにすることが急務である。本研究成果によって、日本の小児 の有病率、重症度が明確となり、またその後のデータ解析に より予後予測が可能となる。2020年度この研究費が降りたのち、この研究の重要性が政府に認識されるようになり、調査自体は文部科学省が主導で行われるよう になった。2021年 4 月から全国の児童生徒対象に、オートトレフラク トメータを用いた非調節麻痺下他覚的屈折度・眼軸長・角膜曲率 半径の測定を同意がい ただけた小児を対象に施行されている。調査体制が軌道に乗った段階で、近視の進行に影響を及ぼす 環境要因を他覚的に計測可能なクラウクリップ と呼ばれる 眼鏡に装着可能な小型機器を用いて学童の照度・近業作業距離の計測を、同意が 得られた学童 200 名を目標に行う。最終的に上述した調査計測データから、眼軸長のパーセンタイル曲線を作成する。本研究成果によって、近視発症前の小児の同定が可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の計画書を文部科学省に2019年提供した。その後、本研究採択後の2020年度に実態調査自体は文科省主導で実施されることに決定した(このため初期計画の段階で申請した調査自体に要する費用がほぼ不要となった)。しかし新型コロナウィルスの影響で学校現場での集団検診が施行できない状態となり、調査は延期となった。2021年度、9000人の児童を対象とし大幅に対象数を増加した内容で、少し遅れて調査が実施された。本研究の研究実施者は文科省の調査班に参加し、調査報告書を作成した。本研究に関しては、実態調査から得られたデータを別途解析し、日本の学童における「屈折異常・眼軸の地域差 」に関しての調査報告書を作成する方針に変更となった。 しかしながら、文科省の実態調査班での方針が2022年度再度変更となり、本研究のテーマは、『近視の有病率の推移』を明らかとするものとなった。文科省の調査は現時点で、2年目のデータ収集を終えており、現在、3年目のデータを収集した段階である。データの本研究での使用に関しては、個人情報保護の観点から文科省側で整備を行なっている段階であり(当初は昨年度提供可能となる予定であったが、審査が遅れているとのことである)、まだ使用ができない状態であり、本研究における解析自体は次年度以降繰越になる方針となった。
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今後の研究の推進方策 |
日本の学童における「有病率の推定と推移 」に関しての調査報告書を作成するための、統計解析を実施し、論文化を進めていく。実態調査自体は3年間文科省が主導で実施するため、別途本研究にそって、新たな論文化を進めていく方針である。文科省での個人情報保護に関する整備が終わるまでは、データが提供されず研究計画が大幅に遅れている。データが提供され次第、解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度末文科省から連絡があり本計画書を提出した。2020年度本研究採択後は調査自体が文科省が主導で実施ることになった。このため調査にかかる予算が当初の計画と異なり、文科省負担となった。コロナの影響で調査が延期されていたこともあり、次年度使用額が生じた。さらに個人情報に関する法改正の影響で、収集したデータを研究利用するための文科省での整備が遅延しており、この研究自体は、現在も進行中であるが、研究計画通りに解析ができない状態である。このため翌年度に研究費使用が実施される状況となっている。本研究は、得られたデータを解析し、国際 誌に報告する形で継続となるが、文科省の調査では調査が3年継続することになったため、複数の論文を執筆していく方針となるため、統計解析費用、論文投稿 費用などに計上していく。
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