網膜色素変性などの網膜変性疾患は不可逆性な組織障害を引き起こし、最終的には社会的失明に至る予後不良な疾患である。現状の治療では根治は困難であり、網膜変性発症の機序や新たな治療や予防的な知見が求められている。熱ショック転写因子1(HSF1)は、高温、酸化ストレス、タンパク質毒性物質への曝露などのストレスに応答してシャペロンの発現を調節する転写制御因子である。本研究では網膜における神経細胞の機能障害および細胞死の分子機序にHSF1およびMsp27を介した網膜神経保護作用機序を明らかにした。今後さらなる研究により網膜変性疾患の新たな予防や治療法の開発に繋げたい。
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