研究課題/領域番号 |
20K18348
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
八塚 洋之 大分大学, 医学部, 医員 (00812299)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ゼブラフィッシュ / 神経変性疾患 / ラパマイシン / 疾患動物モデル |
研究実績の概要 |
RNAエキソソームは、様々なRNAを3’から5’に向かって分解・修飾する多タンパク質複合体であり、RNAの品質管理に重要な役割を担っている。このRNAエキソソームを構成するEXOSC2の遺伝子変異は、網膜変性を含む神経変性疾患の原因となることが報告されおり、研究者らは、当該年度において、exosc2遺伝子をKnockoutした疾患動物モデルゼブラフィッシュを作製し、その病態にヌクレオチド代謝バランスの異常が関連することを報告した。(Yatsuka H et al. BBRC, 2020) exosc2 knockoutゼブラフィッシュは側弯、小頭症、小眼球症等の表現型を示し10日前後で死亡した。凍結切片のロドプシン免疫染色においては、網膜ロドプシンの減少がみられた。また、ロコモーターアクティビティは低下がみられ、Tg(CM.isl1: GFP)strain のexosc2 knockoutゼブラフィッシュを解析したところ、運動神経核の減少が観察された。exosc2 knockoutゼブラフィッシュのミエリンは形成不全と軸索の萎縮がみられた。exosc2 knockoutゼブラフィッシュのミエリン関連遺伝子のmRNAは野生型と比較し増加がみられ、反対にリボヌクレオシド三リン酸は減少していた。exosc2 knockoutゼブラフィッシュにラパマイシンを投与したところ、ヌクレオチド代謝バランスの異常が改善し、生存期間の延長、小頭症の改善、網膜ロドプシンの増加が観察された。またTg(CM.isl1: GFP)strain のexosc2 knockoutゼブラフィッシュにおいて、運動神経核の増加が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究者らは当該年度において、exosc2 knockoutゼブラフィッシュの病態メカニズムの一端を解明し、報告を行った。未解明な部分や他のRNAエキソソーム関連遺伝子疾患動物モデルの解析は、課題として残されているが、当該年度の進捗状況としては、おおむね順調に伸展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、下記課題に取り組んでいく予定である。 1. 各疾患動物モデル間の表現型比較。 2. 網膜の組織学的解析(網膜変性の有無、網膜各層の厚さ、性状)。 3. 網膜の電気生理学的解析(網膜電図、パッチクランプ等による電気生理的解析)。 4. RNAシークエンスによる蓄積した異常RNAの同定。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の収支はほぼ全額使用することとなった。 翌年度も引き続き、物品費と網膜電図解析装置関連費用を計上する計画である。
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