研究課題/領域番号 |
20K18356
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
坂本 晋一 自治医科大学, 医学部, 助教 (30721071)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 糖尿病黄斑浮腫 / サイトカイン / 抗VEGF薬 / ステロイド |
研究実績の概要 |
既に採取した糖尿病黄斑浮腫の患者の眼房水検体の一部の網羅的サイトカイン濃度測定を実施した。その結果を、トリアムシノロンテノン嚢下注射(STTA)有効群と抗VEGF薬有効群に分け、2群間で単純比較t検定を行った。STTA有効群では、GM-CSF、IFN-γ、IL-2、low MMP-1が高値であった。また、抗VEGF薬有効群では、log IL-4が高値であった。現状でも、何らかの炎症反反応が亢進している症例にはSTTAが有効の可能性があり、また、IL-4により炎症反応が抑制されている症例ではステロイドの効果は弱く、逆に抗VEGF薬の方が効果が高い可能性がある。また、両群間のVEGF濃度には有意差を認めず、STTA治療においてもVEGFを抑える効果があることが示唆される。現在も引き続き検体収集を継続して行っており、その結果の解析後、再度検討を行う。 今回の研究内容に関連し、抗VEGF薬であるアフリベルセプトの動態解析について、自治医科大学、臨床薬理学の相澤健一氏らとの共同研究を進め、島津製作所の嶋田崇史氏よりJournal of Pharmaceutical and Biomedical Analysisへ現在論文投稿中である。 さらに、2020年から加齢黄斑変性症に対して使用できるようになった、抗VEGF薬であるベオビュに関連して、第125回日本眼科学会総会にて「ブロルシズマブ切替後内眼炎の投与前前房水中タンパク質濃度プロファイル」を自治医科大学眼科の橋本悠人氏が口頭発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一部検体のサイトカイン濃度測定を行い、STTA有効群と抗VEGF薬有効群で比較を行い、サイトカイン濃度の差を認めている。引き続き、検体採取を継続しており、今後追加検体の解析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、検体採取を継続し、追加検体のサイトカイン濃度の解析を行う。 STTA有効群と抗VEGF薬有効群で比較を行い、その結果を解析して治療反応性と対応するサイトカインプロファイルの特徴を見いだす。 ステロイドあるいは抗VEGF薬投与後の予後と年齢・性別・視力・中心窩網膜厚・中心窩脈絡膜厚・光凝固数・後部硝子体剥離の有無・眼内VEGF濃度・炎症性サイトカイン濃度の関連を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度も引き続きサイトカイン測定を行う必要があり、その測定のための消耗品の購入に使用する予定である。
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