糖尿病黄斑浮腫(DME)の患者でトリアムシノロンテノン嚢下注射(STTA)治療と抗VEGF薬硝子体注射の両治療を施行した患者を抽出し、対象となった28例28眼の眼房水検体で網羅的サイトカイン濃度測定を実施した。その結果を、STTA有効群と抗VEGF薬有効群に分け、サイトカイン濃度は対数変換してt検定を行った。STTA有効群は12例、抗VEGF薬有効群は16例であった。2群間に有意差のついたサイトカインはなかった。STTA有効を目的変数とした名義ロジスティック解析を行ったところ、CXCL1(p=0.037)、GM-CSF(p=0.012)が有意な変数として選択され、予測モデルのROC曲線におけるAUCは0.86であった。GM-CSFが高く、CXCL1が低いとSTTAの方で治療効果が高い結果であった。今回の研究の限界として、サンプルサイズが小さいことや眼房水の採取時期の統一がされていないことなどが考えられ、さらなる研究の必要性が判明した。 以上の結果を第60回日本網膜硝子体学会総会にて「糖尿病黄斑浮腫に対する薬物療法の前房水中サイトカインの検討」との演題名にて研究者本人が、口頭発表した。 今回の研究内容に関連し、抗VEGF薬であるアフリベルセプトの動態解析について、自治医科大学、臨床薬理学の相澤健一氏らとの共同研究を進め、島津製作所の嶋田崇史氏よりtranslational vision science & technologyへ現在論文投稿中である。
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