研究課題/領域番号 |
20K18359
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
春日 俊光 順天堂大学, 医学部, 助教 (80568189)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 緑内障 / ペリオスチン |
研究実績の概要 |
①抗POSTN抗体を用いたヒト線維柱帯組織の免疫組織電顕:緑内障手術(線維柱帯切除術)時に得られた線維柱帯組織を用い、抗POSTN抗体を用いた免疫電顕の条件検討を施行した。現在抗体の特異性を検証するための追加実験を施行している。また、さらなる追加の臨床検体の収集にむけて準備を進めている。 ②アトピー緑内障ならびにPOAGからの前房水採取と臨床データの収集:研究倫理委員会の承認を得て、現在北海道大学、筑波大学、東京医科大、島根大学、佐賀大学と共同研究を遂行しており、解析に必要な前房水サンプルを収集した。今後ELISA法によるタンパク定量と臨床データの解析、論文化へと進む予定である。プレリミナリーなデータによるとアトピー緑内障の重症度の高い人から得たサンプルでペリオスチンタンパクの発現量が高い傾向がみられた。 ③POSTNトランスジェニックマウスならびにIL-33トランスジェニックマウスの線維柱帯部位におけるペリオスチン分子の発現をqPCRならびに免疫組織染色で確認する:POSTNトランスジェニックマウスでは野生型マウスと比較して、線維柱帯部位でのペリオスチン発現が亢進していることを免疫組織染色とq-PCR法で確認した。現在追加実験として、マウスの線維柱帯組織の透過型電顕を用いた解析を進めており、以前発表したアトピー緑内障の線維柱帯部位にみられる特異的な沈着物とペリオスチンの超微形態を比較している。IL-33トランスジェニクマウスに関しては現在、導入のための準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度の計画事項、抗POSTN抗体を用いたヒト線維柱帯組織の免疫組織電顕、アトピー緑内障ならびにPOAGからの前房水採取と臨床データの収集、POSTNトランスジェニックマウスの線維柱帯部位におけるペリオスチン分子の発現の検討は順調に遂行した。また、令和三年の計画のうち前房水中のPOSTN濃度をELISA法で測定し、臨床情報と合わせてバイオマーカーとしての可能性を評価と言う項目を先取りして施行しており、概ね順調な進展と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、IL-33ならびにPOSTNトランスジェニックマウス、POSTN欠損マウスにおける眼圧測定、線維柱帯組織の流出抵抗の評価を重点的に遂行する予定である。具体的には、マウスの眼圧測定はiCare Labを用いて非侵襲的に行う。流出抵抗の評価には、全身麻酔下に前房にガラスピペットを挿入し、圧トランスデューサーを用いた測定を施行するシステムを構築している。POSTNが線維柱帯に沈着し、眼圧上昇を来すまでは時間がかかることが想定されるため、眼圧を生後経時的に測定し、眼圧上昇が確認された時点で流出抵抗測定を施行する。また、POSTN欠損およびトランスジェニックマウスに対して、濾過手術を施行し、POSTN分子の有無による濾過胞の形成、浸潤マクロファージ数、α-SMA発現量を定量し、濾過胞瘢痕化に対するPOSTNの影響を評価する。また抗マウスPOSTN中和抗体を投与した状態での濾過手術を施行し、POSTN発現抑制の臨床応用の可能性を探求する
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