研究実績の概要 |
全施設よりデータ取得は完了し、取得した網膜断層像よりlandmark構造となる色素上皮断端、Bruch膜開口部(Bruch's membrane opening: BMO)、前部強膜開口部(anterior scleral canal opening: ASCO)の位置を手動で同定し、正常眼・緑内障眼ともに構造の解析を独自に開発したソフトにより行った。篩状板関連の組織の同定、形状計測に関しては市販のAIソフトを用いて、解析を行った。 得られたデータより正常眼において眼軸長が伸びる(近視が強くなる)につれて、どのような乳頭周囲の深部構造が変化するのかを検討した。 155例230眼の正常眼を対象とした結果、眼軸が長くなることと最も関連した乳頭周囲構造変化はBMO平面とASCO平面の偏位(ASCO平面を参照面とした時にBMO平面が耳側に偏位する)であることが判明した。その他、長眼軸の眼では乳頭周囲の脈絡膜が薄く、乳頭周囲強膜が後弯、ASCO面積が開大することが分かった。 正常近視眼で起きるこれらの乳頭周囲構造変化の把握は今後近視を伴う緑内障眼の変化を評価する上で重要と考えられる。以上の研究成果を論文発表している。 Saito H, Kambayashi M, Araie M, et al. Deep Optic Nerve Head Structures Associated With Increasing Axial Length in Healthy Myopic Eyes of Moderate Axial Length. Am J Ophthalmol. 2023 Jan 14;249:156-166. doi: 10.1016/j.ajo.2023.01.003. Epub ahead of print. PMID: 36646241.
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