研究課題/領域番号 |
20K18375
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
清水 大輔 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (30867635)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | CMV角膜内皮炎 |
研究実績の概要 |
ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)はヒト角膜内皮に感染し角膜内皮炎を引き起こし同時に眼圧の上昇を伴うことが多く、続発性の緑内障をきたし不可逆性な視機能低下を引き起こす原因となっているが、眼圧上昇の機序は未だ定かになっておらず、機序を明らかにするため、我々は過去に、HCMVがヒト線維柱帯細胞にも感染することで、線維柱帯の構造変化が起こり、房水流出抵抗が上がることで眼圧が上昇していると仮説を立て、実際に複数のHCMV株がヒト線維柱帯細胞に感染することを証明し、細胞構造変化に関与するいくつかのサイトカインの上昇を示すことができた。しかしin vivoにおいてHCMVが眼圧上昇を惹起することは未だ示されておらず、本研究では複数のCMV株を動物モデルにおいて角膜内皮炎を惹起させ、線維柱帯組織の変化について検証することで、HCMV感染による眼圧上昇の原因の解明を行う予定である。 しかし、新型コロナによる活動制限や医学部実験施設棟の移転作業などのため、連続した実験が難しいことから、2021年度より本格的な研究を開始する方針に変更した。 ラットに対するCMV角膜内皮炎モデルの作成やその後のCMV角膜内皮炎モデルにおける線維柱帯組織の評価(CMV角膜内皮炎を発症したラットから眼球を摘出し線維柱帯組織フラットマウントを作製しCMV感染をIE1、gB、pp65、UL44などの抗体を用いた蛍光顕微鏡での確認や、電子顕微鏡でのowl’s eye様変化やウイルス粒子などの有無の確認)についてあらためて実験手順を確認し、医学部研究棟の移転後、速やかに実験に移れるよう準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度はラットに対するCMV角膜内皮炎モデルの作成(CMV溶液を様々な濃度で成熟ラットに前房内注射を行い、注射後1日目、3日目、7日目、14日目に前眼部観察および眼底測定を行い、角膜内皮炎や眼圧上昇が惹起されることを確認する)を行う予定であったが、新型コロナや医学部実験施設棟の移転作業があり、連続した実験が難しいため、2021年度より本格的な研究を開始する方針に変更した。
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今後の研究の推進方策 |
ラットに対するCMV角膜内皮炎モデルの作成を行い、2021年度より順次、CMV角膜内皮炎モデルにおける線維柱帯組織の評価(CMV角膜内皮炎を発症したラットから眼球を摘出し線維柱帯組織フラットマウントを作製しCMV感染をIE1、gB、pp65、UL44などの抗体を用いた蛍光顕微鏡での確認や、電子顕微鏡でのowl’s eye様変化やウイルス粒子などの有無の確認)を行う予定である。 2022年度以降、CMV角膜内皮炎モデルにおける前房水中サイトカインやタンパクの評価(CMV角膜内皮炎を発症したラットから前房水を採取し、TGF-βなどの炎症性サイトカインやmyosin phosphatase Rho-nteracting proteinなどの細胞骨格に関連のあるタンパクをreal-time PCRやWestern blottingにて定量化)や、CMV角膜内皮炎モデルにおける前房水中CMVコピー数の評価(CMV角膜内皮炎を発症したラットから前房水を採取し、CMVコピー数をreal-time PCRを、用いて定量化)を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナや医学部実験施設棟の移転作業があり、連続した実験が難しく、2021年度より本格的な研究を開始する方針に変更したため。
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