研究実績の概要 |
実験用の網膜凝固装置を用いて培養RPE(ARPE-19)にレーザーを照射したが、閾値下凝固を行うことができなかったため、ヒトiPS細胞由来RPE細胞を培養し、黒色化したものを用いた。照射条件は5×5のパターン照射, スポットサイズ 200μm, 0.02sec, spacing 0.5として、出力については、0mW(コントロール)/100mW/200mW/300mW/500mWの条件を割付けた。Live/Dead Cell Staining Kitを用いて、照射部位における細胞死が確認されない出力を同定した。また、その条件下でHSP70の発現量が十分に出ていることをqPCRにより確認した。その結果、出力は300mWとした。 次に、従来法であるcontinuous wave (CW)方式を用いた凝固法と、上記で決定した閾値下凝固(SMPL)群、レーサー非照射のコントロール群の3群に対し、レーザー照射3時間後、24時間後の上清を回収し、脂質メディエーターの網羅的脂質解析を行った。その結果、レーザー照射24時間後のCW群とSMPL群において、コントロール群と比較して、特定のリン脂質代謝関連酵素の濃度が低下していることを確認した。また、同時刻において、SMPL群において、CW群と比較して特定のスフィンゴ脂質濃度が低下していたことを確認した。これにより、SMPL法ではCW法よりも細胞死のリスクが低い可能性が示唆された。上記についてARPE-19細胞で追加実験を行い、論文化予定である。
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