研究課題/領域番号 |
20K18378
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
須田 謙史 京都大学, 医学研究科, 助教 (70779157)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 加齢黄斑変性 / 高密度リポ蛋白質 / CD13 / 点眼 / ドラッグデリバリー |
研究実績の概要 |
血管に親和性の高い生体ナノ材料を用いて、加齢黄斑変性(age-related macular degeneration; AMD)のための点眼治療法を開発することを目指す。AMD治療の現状は、硝子体内に抗体医薬を注射するという極めて侵襲性の高いものであり、代替治療が強く求められている。そこで本研究では、申請者が点眼剤として独自に開発してきた高密度リポ蛋白質(High-density lipoprotein; HDL)変異体に血管内皮に発現するCD13を認識するNGRペプチドを修飾し(NGR-cpHDL)、疾患モデルマウスに点眼することで治療効果を評価する。血管親和性を高めることにより、点眼剤の病変選択性を高めることが期待される。これにより点眼という患者自身が容易に行える方法で、AMD病変部位へ点眼剤を効率良く送達するシステムの構築をはかることを目的に研究を行った。 上記の目的を達成するために、(1)NGR-cpHDLの作製条件最適化・物性評価・安全性試験・in vitroモデルを用いた治療効果の評価・in vivoモデルを用いた治療効果の評価の5つの項目に関して検討を行った。結果、NGR-cpHDLの調整は既存のプロトコルに放冷を加えることで最適化が図られ、リン酸緩衝液中に4℃下で30日間保存しても粒子サイズと成分組成が不変であることを確認した。角膜培養細胞を用いた安全性試験では毒性が無視できる程度であり、加齢黄斑変性モデルマウスにおいてNGRなしのcpHDLに対して有意な治療効果を有することを確認できた。In vitroの実験ではHUVEC細胞への取込がNGRなしのcpHDLに対して有意に亢進していたが、抗炎症作用や抗酸化作用に関しては有意な差を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究ではNGR-cpHDLの作製条件最適化・物性評価・安全性試験・in vitroモデルを用いた治療効果の評価・in vivoモデルを用いた治療効果の評価を予定しているが、作製条件最適化は完了しており物性評価・安全性試験に関しても完了している。また治療効果の評価に関してもin vitro, in vivoモデルにおいて良好な実験結果が得られているが、現在実験結果の再現性を確認しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
今後はin vitro, in vivoモデルにおける治療効果の評価に関する実験にて再現性を確認するとともに、今回得られた実験結果を公にするべく学会発表、論文執筆を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルスの影響により各種学会が中止となり、予定されていた学会出張費が想定されていたよりも少額となったため。
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