研究課題/領域番号 |
20K18380
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小林 礼子 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任助教(常勤) (10857874)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ヒトiPS細胞の遺伝子組み換え |
研究実績の概要 |
ヒトiPS細胞で眼の発生を模倣するSEAM法を基盤技術として、眼の発生初期に発現する転写因子RAX遺伝子の生理学的な機能を詳細に解明するために研究を行っている。 具体的には、RAX発現細胞を可視化してその細胞の挙動を追跡できるようなイメージングシステムの樹立、RAX遺伝子ノックアウト細胞の樹立、そしてそれらの細胞を用いて、RAX発現細胞と関連する眼発生ネットワークの解析を行うことを目標としている。 これまでにCRISPR/Casシステムを用いて、RAX遺伝子の発現に伴い蛍光蛋白質を発現する遺伝子組み換えヒトiPS細胞の樹立を試みていた。昨年度までのコンストラクトでは遺伝子組み換えを起こすことができなかったため、今年度はコンストラクトを変更し、新たな組み換え用ベクターとCas gRNAベクターを作製した。作製したベクターをヒトiPS細胞にトランスフェクションし、薬剤選択を行い、生き残った細胞のうち、蛍光蛋白質の発現しているクローンを複数取得した。得られたクローンのgenotypingを行ったところ、目的の遺伝子の場所に遺伝子導入できていることが確認できた。現在genotypingが終わっているクローンでは、遺伝子導入がホモあるいはヘテロで起こったことが確認できている。 今後はこれらのクローンを用いて、実験を進めていく予定である。また、今回遺伝子組み換えを行った際に、RAX遺伝子がノックアウトされた細胞も得られた可能性があるので、それを単離する予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験に用いる遺伝子組み換えiPS細胞の樹立がなかなか成功せず、これまで時間を要していたため。
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今後の研究の推進方策 |
①得られた遺伝子組み換えiPS細胞を用いてSEAM形成を行い、眼の初期の発生においてその細胞がどのような挙動を示すのかをタイムラプス顕微鏡で継時的に観察していく。 ②①の遺伝子組み換え中に得られるRAX遺伝子ノックアウトヒトiPS細胞を単離し、SEAMの発生に与える影響を観察する。 ③SEAM形成初期におけるRAXやその他の眼の発生に関連する遺伝子の発現解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでに遺伝子組み換えiPS細胞の樹立を行っており、それ以降の研究を行えていなかったので次年度使用額が生じた。次年度は今年度に樹立した細胞を用いて蛍光免疫染色や定量PCRを行う予定であり、その費用として使用する予定である。
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