緑内障を含めた視神経疾患を持たないコントロール76眼と正常眼圧緑内障を含めた開放隅角緑内障90眼(初期30眼、中後期60眼)に対し網膜電位計レチバルを用いPhNRを測定した。PhNRの各パラメーター (BT (base to trough)、PT (peak to trough)、W-ratio、72msPhNR、P-ratio)について有用性を検討した。また視野 (ハンフリー視野検査30-2プログラムのMD値)、光干渉断層計 (OCT)で測定した網膜神経線維層厚 (retinal nerve fiber layer thickness: RNFLT)との相関を検討した。 PhNRの各パラメーターは網膜神経節細胞の機能を反映しているが、中後期群ではコントロール群と比較し全てのPhNRパラメーター値に有意差を認め、初期群でもPT以外のパラメーター値において有意差を認めた。初期群では72msPhNRのみRNFLTとの有意な相関を認めたが、中後期群ではPT以外の全てのパラメーターにおいてMD、RNFLTとの有意な相関を認めた。AUC値はBTで初期、中後期群ともに最も高かった。 レチバルを用いて測定されたPhNRの各パラメーターは、初期より中後期開放隅角緑内障における他覚的な視機能評価に有用であり、その中でもBTの診断能力が最も高いことが示唆された。 またわれわれは緑内障の有無を調べる判別一次関数を以下のように定量的に求めた。BT: 判別式 = 0.505 x BT + 2.017; 正で疾患あり。正解率 = 80.7%。 72msPhNR: 判別式 = 0.533 x 72msPhNR + 1.553; 正で疾患あり。正答率=77.1% 以上の結果をThe 60th ISCEV meeting、 FUJIRETINA 2023で発表した。また原著を作成し現在投稿中である。
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