研究課題/領域番号 |
20K18394
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
清水 映輔 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任講師 (10793812)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 腸内細菌 / ドライアイ / 移植片対宿主病 / 免疫 / 抗菌薬 / 加齢 / 細胞老化 / 視機能 |
研究実績の概要 |
血液悪性疾患の根治療法である造血幹細胞移植には移植片対宿主病 (GVHD) という合併症がある。このGVHDは眼を含んだ全身諸臓器に重篤な炎症や線維化をきた し、ADLや生命予後に関わってくる。しかし、その病態は多岐に渡るため、特に眼GVHDにおいてはステロイド点眼のように副作用の強い対症療法しか存在せず、 患者さんは血液悪性疾患か、造血幹細胞移植で寛解したが、GVHDでADLが低下する。GVHDはステロイドで改善したが、ステロイドの合併症で苦しんでしまうという 社会的課題がある。申請者らは、GVHDの自己免疫疾患様の病態に着目し、病態に直接作用する新規治療法を開発してこの社会的課題を解決しようと考えた。具体的には近年、腸内細菌が免疫系の発達制御に関連し、中でも自己免疫疾患において重要な役割を担っている事が話題となっており、申請者らは眼科医の立場からこれらの報告を検討した結果、眼表面粘膜である結膜にも細菌叢が存在し、結膜・腸内細菌と自己免疫様疾患であるGVHD関連ドライアイに大きな関わりがあると 考えた。 これは細菌叢を変化させ、免疫抑制を行うことでGVHDを治療、あるいは移植前から細菌叢を変化させ、GVHDの予防かができるのではないかという病態に基づく着想である。今まで、病態をもとにした合併症の少ない治療を行ってこなかった新しい分野に、その病態に基づいた新規治療法を開発することに学術的な特色がある。予備的に結膜細菌叢を培養するとGVHD群では非GVHD群と比べ有意に細菌増加と検出菌増加が認められた、GVHD群では腸内細菌のみならず結膜細菌にも変化が出ていると示唆された。 本研究では、GVHDモデルにおいて、GMを経口投与することで、GVHDの表現型改善を認め、GMの経口投与は新規かつ臨床的に応用可能な戦略であると考えられ、2021年度は基礎的なエビデンスを発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GVHDモデルにおいて、GMを経口投与することで、大いにGVHDの表現型改善を認めた。 本成果は、"Positive Effects of Oral Antibiotic Administration in Murine Chronic Graft-Versus-Host Disease"と題された英文論文として、公表された(Sato S, Shimizu E, He J, et al. Positive Effects of Oral Antibiotic Administration in Murine Chronic Graft-Versus-Host Disease. Int J Mol Sci. 2021;22(7):3745. Published 2021 Apr 3.)。 この発見は、非常に新しいものであり、さらにこの成果を発展させ、GM投与のメカニズム解析や、今後の発展性からも、GVHDの悪化を抑制するための新規かつ臨床的に応用可能な戦略であると考えられるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、腸内細菌叢解析を進め、さらにヒト検体採取をも行う。 現在、臨床現場で採用されているGVHD治療プロトコルはステロイドあるいは免疫抑制剤の局所・全身投与のみであり。しか も、これら治療法の全体的な奏効率は43%~86%とばらつきがある。 特に眼科的なステロイド投与による緑内障、白内障、感染症などの合併症も問題となっていて、従って、経口抗生物質の使用は、腸内細菌叢の調節を介して、眼症状を含むGVHDを治療するための新規かつ効果的なアプローチとなる可能性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
チームにnative speakerがいるので、英文校正費用が抑えられた。 次年度の、腸内細菌叢解析や、ヒト検体採取に関して、費用が必要なため
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