[目的]1:網膜静脈分枝閉塞症による広範な網膜無灌流領域(Non-perfusion area : NPA)を再現した動物モデルを確立する。2:無灌流領域となった部分の網膜血管の 退縮を観察し、病態に迫る。3:網膜血管の退縮を抑制する方法を検討し、臨床への応用を図る[方法]1:生後2か月のadultマウス(BALB/Cマウス)に全身麻酔下(塩酸ケタミンと塩酸キシラジンを腹腔内に投与)で網膜光凝固を行う。網膜光凝固を行う際には事前に光感受性物質であるロ-ズベンガル液を腹腔内に注射する。数日後にNPAが形成されたかどうかを光干渉断層網膜血管造影Optic coherence tomography angiography(OCTA)を用いて確認する。2:その個体に尾静脈からフルオレセイン/デキストランを注入後、眼球を摘出、網膜を展開してフラットマウント標本を作成する。血管内皮CD31を染色し、網膜血管の退縮する日数、退縮様式を検討する。3:側副血行路を促進するSEWなどをマウスに注入し、無灌流領域の形成が抑制されるかどうかを検討する[結果]1:となりあった静脈3本に対して 網膜光凝固術を行うと、約80%の確率で広範なNPAを形成することができた。しかしこのモデルからは網膜新生血管は発生しなかった。(第125回日本眼科学会発表)。2:網膜光凝固術後、8日から15日の間で深層、浅層の網膜血管から退縮し、最後に中間層が退縮することがわかった。3:SEWを注入したマウスに光凝固を行い、術後1週間、2週間、3週間と観察したが最初に形成されたNPAに網膜血管が再灌流することはなかった。
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