先進国における主要な視覚障害の1つである加齢黄斑変性は、酸化ストレスによる網膜色素上皮細胞の機能低下を病因としている。本研究は抗酸化能を有する網膜色素上皮細胞(RPE)のメラニンが加齢とともに減少することに基づき、RPEのメラニン生成を促進させる物質の同定を試みた。網膜色素上皮細胞にmTOR阻害薬を添加し培養すると、コントロールと比較しRPEの透過率が、添加2週後は96%、添加4週後は93%と有意に低下し、RPEのメラニン量が増加することを確認した。このためmTOR阻害薬がRPEのメラニン生成の促進を通してAMDに対する新しい予防薬となる可能性が示唆された。
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