研究課題/領域番号 |
20K18411
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
浅倉 辰則 新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (20773584)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 骨形成 |
研究実績の概要 |
現在形成外科領域では脂肪組織由来幹細胞、骨髄由来間葉系幹細胞、血管内皮前駆細胞などを用いた再生医学の臨床研究が盛んである。しかし自己の組織を使った治療は時間とコストがかかり臨床応用へのハードルは高い。形成外科領域で扱う骨欠損部への治療も、より簡便に骨移植と同等に行うことができれば成長期の小児や骨密度が低い高齢者から採骨せずに骨欠損を治療できれば、患者の負担も減り画期的な治療法となり得ると考える。 この度、皮膚・骨など人体の組織や臓器に最も多く存在するヒトⅠ型コラーゲン(α1鎖)を基に設計されたバイオマテリアル『セルネスト(cellnest)』に着目し、骨移植に代わりうるかを検証するためラットを用いて基礎的なデータを集める。 ラットという小動物を用いる実験のため、本年度は頭蓋骨に観察可能な骨欠損を作成するという侵襲に耐え得るマウスモデル作りの手技確立を目指した。具体的な手順としてはイソフルランで吸入麻酔をさせ、傾眠傾向となった後に三種混合麻酔薬(塩酸メデトミジン/ミダゾラム/酒石酸ブトルファノール)を腹腔内投与して全身麻酔させた。頭頂骨上の皮膚を切開し皮下を剥離、頭頂骨を露出させる。骨削用トレフィンバーを用いて頭蓋骨を削骨し、直径4㎜の骨欠損を作成する。そこに濃度の違うcellnestを移植し、1か月後の骨形成について比較・検討し、cellnestの骨誘導能について考察する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨欠損モデルマウス作成の手技に関しては、回数をこなすことで身につけるとことができた。そこに濃度の違うcellnestを移植し、1か月後の骨形成について比較・検討し、濃度依存性に骨形成割合が上昇するという結果を得た。その研究結果を2022年度形成外科学会基礎学術集会で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は移植方法を変えたり、形成外科領域で用いられている人工真皮を移植し比較することでcellnestの骨誘導能についての考察をしていきたいと考えている。 また、cellnestの骨誘導能をin vitroで調べる実験も計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に関する物品を同じ研究室内のスタッフと共有することができ、新たに購入する必要がなかったので物品費がとくに余ってしまっている。 今後は新たな実験を計画しているので、それに合わせて物品購入の額も増えるのではないかと考えている。
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