研究課題/領域番号 |
20K18414
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
岩尾 敦彦 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (90816638)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 末梢神経再生 / Amniotic Membraneラッピング / 羊膜 |
研究実績の概要 |
神経欠損モデルというstrong modelにおける羊膜の最大限の効果を判定するため、fresh Human Amniotic Membrane (amnion + chorion)(以下HAM)を神経再生誘導チューブの外周からラッピングする手法の評価を行なった。 6週齢のSprague-Dawleyラットの坐骨神経に8mmの欠損を作成し、10mmの神経再生誘導チューブ(東洋紡:ナーブリッジ)を移植した。fresh HAM 14×7mmを絨毛膜側が内側となるようにしてチューブにラッピングした群(PGA-c+HAM群:n=5)とチューブ単独群(PGA-c群:n=5)、そしてsham群(n=5)を作成した。12週後にSciatic Function Index(SFI)とPerineural Adhesion、前脛骨筋における終末潜時と振幅、再生神経中央部でのNeurofilament (NF)とS-100による軸索数とシュワン細胞数、同部位での電子顕微鏡による髄鞘化された軸索の周径とg ratio、前脛骨筋の湿重量、Massson's Trichome染色による前脛骨筋断面積について評価を行った。なお有意水準は5%とした。 SFI、Perineural Adhesionでは有意差は認められなかった。電気生理学的評価でPGA-c+HAM群で有意に終末潜時が短かったが、振幅では有意差は認められなかった。免疫組織化学染色では軸索数、シュワン細胞数共に有意差は認められなかった。電子顕微鏡では髄鞘化された軸索の周径とg ratioが、PGA-c+HAM群で有意な改善を認めた。 fresh HAMラッピングによっては神経再生誘導チューブの機能が向上することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定した実験は全て終了し計画通り、分娩時胎児付属物を使用した神経再生誘導チューブの能力向上方法を確立した。本研究で得られた成果は第65回日本手外科学会学術集会で発表した。なお、現在論文作成中であり、近日、英文誌に投稿予定である。
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今後の研究の推進方策 |
Amniotic Membraneを使用して神経再生誘導チューブの機能を向上させる現象は確認できた。今後はこの現象が引き起こされたメカニズムについて、分子生物学的手法を用いながら探求していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2年間の研究期間中に英語論文作成と論文投稿までには至らなかった。英文校正費及び論文投稿費として次年度使用額が発生した。
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