ケロイドは張力のかかる部位が好発部位とされ、機械的シグナルがケロイド病変形成に関与している可能性が報告されている。近年、YorkieのホモログであるYAP(Yes-associated protein)とTAZ(transcriptional coactivator with PDZ-binding motif)が細胞外マトリックスの硬さ及び細胞形状によって伝えられる機械的シグナルを核へ送る伝達装置であることが報告された(Dupont S. et al. Nature 2011)。以降、間葉系幹細胞や癌細胞の制御に関与するなどの報告がされ、また2017年にケロイドにおいて辺縁正常皮膚に比べYAP/TAZが核内移行し、活性化されていることが報告されたが(Aramaki-Hattori. et al. Plast Reconstr Surg Glob Open.)、ケロイドの病態形成についての詳細は検討されていない。そこで本研究は、ケロイド組織におけるYAP/TAZの検討を行い、ケロイドの病態形成にYAP/TAZが関与する機械的シグナルが関与している可能性を検討し、そのシグナルを阻害することで将来的な治療への応用を目指した。研究成果において、マウス瘢痕モデルでのYAP/TAZの核内移行、が認められた。
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