乳房再建術における脂肪注入術は、他の術式より侵襲が小さく患者の負担は非常に少ない半面、一度の移植で生着可能な組織量が少なく複数回の手術が必要になることが欠点である。本邦では移植環境形成に関する報告は少なく、本研究は幹細胞が産生する細胞増殖因子やサイトカインを作用させ、脂肪生着・再生を促す移植環境を形成し、脂肪保持率を向上させた安全で確実な脂肪移植法を確立するものである。結果としてInduced Membrane法に幹細胞産生因子を付加した移植環境群と、コントロール群での明確な差を示すにはいたらなかったが、移植環境の解析を行うことにより脂肪生着・再生のメカニズム解明への足掛かりとなった。
|