骨は、リモデリング機構を介して常に新しい組織に置き換わることにより、その強度を保つ。すなわち、破骨細胞に吸収された骨組織は、速やかに骨芽細胞により補填される。これまで、骨のリモデリングは、破骨細胞と骨芽細胞のみが担うと考えられてきた。しかし、破骨細胞を介して増加した血管系が、骨形成を誘導することにより骨のリモデリングに寄与することが報告された。また、破骨細胞は、骨組織表面のみに局在すると考えられてきたが、血管特異的に接着する破骨細胞の存在が確認された。これらの事象は、血管接着性の破骨細胞が、血管内皮細胞に働きかけて、骨形成を誘導することを示唆している。しかし、BV破骨細胞による血管の誘導機構は不明である。破骨細胞の分化誘導因子であるRANKLのデコイ受容体OPG(osteoprotegerin)は、破骨細胞の分化を抑制する。したがって、OPGを欠損した遺伝子改変マウスでは、破骨細胞の分化が亢進する結果、破骨細胞の数が増えて骨粗鬆症に陥る。我々は、OPG欠損マウスの血管内皮細胞をセルソーターで回収し、その遺伝子発現を野生型と比較したところ、遺伝子オントロジーエンリッチメント解析(GESA)の結果、OPG欠損マウスでは、血管新生が亢進していることを確認した。血管の染色においても、OPG欠損マウスでは、血管が増加し、血管に近接して破骨細胞が存在することが確認された。OPG欠損マウスでは、骨のリモデリングが亢進していることが報告されていることから、OPG欠損マウスにおける血管の上昇と骨リモデリングの亢進に関連性があることを示唆された。
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