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2020 年度 実施状況報告書

口腔がんの遊離と浸潤を抑制する新規治療標的の同定

研究課題

研究課題/領域番号 20K18472
研究機関新潟大学

研究代表者

河村 智子  新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (10838642)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワードメトホルミン / 口腔がん細胞
研究実績の概要

メトホルミン刺激有無それぞれの口腔がん細胞における網羅的な遺伝子発現解析を、マイクロアレイ法を用いて行い、メトホルミン刺激細胞では脂質の代謝異常に関与する遺伝子の発現に大きな変化がある知見を得た。そこで、この分子の発現を正常歯肉線維芽細胞と口腔がん細胞で比較したところ、口腔がん細胞で顕著に上昇しているサブタイプを見出した。siRNA法にてこのサブタイプの分子の発現を特異的に抑制したが、口腔がん細胞の形態や生存に影響がなかったことから、何らかの分子によるコンペンセーションが起きてしまったのではないかと考えた。そこで、次にこの分子群の阻害薬を用いて口腔がん細胞の形態解析と生存実験を行ったところ、細胞接着が阻害され、細胞死が誘導された。つまり、この脂質代謝関連分子は口腔がんの抗がん剤の標的になりうると考えられる。

続いて、この阻害剤によってどの細胞接着因子の発現に変化が起きて細胞同士が接着できなくなったのかを解析し、候補分子と、翻訳後修飾と考えられる分子量のシフトの存在を見出した。加えて、この分子はゴルジ体に蓄積することも見出した。現在、どのような修飾が起きているのかを検討中である。

また、この阻害剤によって脂質代謝関連分子を阻害すると細胞死が誘導されたことから、どのようなシグナリングが細胞死に関与しているのかを解析し、現在その経路を明らかにしているところである。この分子の阻害剤としてはいくつかが世に出回っているが、いずれも口腔がんの増殖を抑制することができた。今後in vivoの研究も行い、その効果を検討する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画のうち、in vivoの実験はできなかったが、それ以外の研究は順調に進んだ。

今後の研究の推進方策

がん細胞の接着に重要な分子の発現調節機構を明らかにするとともに、翻訳後修飾が起きるメカニズムを解明する。また、細胞死のメカニズムも解明することで、見出した口腔がん細胞に著明に発現している分子の、口腔がんの悪性化に与える影響を明らかにしたい。また、申請者が見出した抗がん効果を示す脂質代謝関連分子の阻害剤を、がん細胞を移植したマウスに投与し、その効果を検討したい。

次年度使用額が生じた理由

当初購入予定であった研究機器を購入しなかったため。次年度の研究予算が当初よりも少なくなっていたため、動物実験を行うことで高額になる次年度に研究費を繰り越すことにした。

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公開日: 2021-12-27  

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