研究課題
2020年度までに、シェーグレン症候群 (SS) 疾患モデルマウス唾液線を用いたシングルセルRNAシークエンス (scRNA-seq) 解析から、SS疾患特異的CD4陽性T細胞を見出した。本年度は、SS疾患特異的CD4陽性T細胞の機能解析を行うとともに、scRNA-seqの結果から、新たにSS疾患特異的CD8陽性T細胞についても見出した。1. SS疾患特異的CD4陽性T細胞の機能を阻害する中和抗体をSS疾患モデルマウスに投与することで、病原性を検討した。その結果、病理組織学的スコアが改善傾向にあった。2. SS疾患特異的CD4陽性T細胞の機能を調べるために、PMA/ionomycin刺激によるサイトカイン産生を評価した。その結果、SS疾患特異的CD4陽性T細胞では、特徴的なサイトカイン産生は認められなかった。そのため、SS疾患特異的CD4陽性T細胞が別の細胞と直接作用していると考え、SS疾患特異的CD4陽性T細胞の受容体発現を調べた。その結果、受容体側の発現は唾液腺の病態局所で特異的に認められた。発現している細胞種については、現在検討中である。3. SS疾患特異的CD4陽性T細胞の局在について、SS患者検体を用いて評価した。現在、PhenoCyclerを用いたシングルセルspatial解析を実施している。4. scRNA-seqの結果をもとに、SS疾患特異的CD8陽性T細胞を見出した。CD8陽性T細胞の病原性を調べるために、SS疾患モデルマウスに抗CD8抗体を投与した。その結果、病理組織学的スコアに変化はなく、現在SSにおけるCD8陽性T細胞の役割について解析中である。5. 上記の結果をもとに、日本免疫学会および日本病理学会にて口頭発表を行った。
2: おおむね順調に進展している
予定していたSS疾患特異的CD4陽性T細胞の機能解析を行えており、学会発表も行っているため。
1. SS疾患特異的CD4陽性T細胞の病理組織学的解析:SS疾患特異的CD4陽性T細胞の局在について、SS疾患モデルマウスおよびSS患者の病理組織標本を用いて評価する。2. SS疾患特異的CD4陽性T細胞の機能解析:SS疾患特異的CD4陽性T細胞とその受容体がどのように作用し合っているのか、in vivoおよびin vitroレベルで解析を行う。3. 学会発表:上記の結果を踏まえ、日本病理学会、日本免疫学会等で発表し、論文化につなげていく。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 1件)
JCI insight
巻: - ページ: -
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