本研究は、口腔扁平上皮癌(OSCC)幹細胞による腫瘍組織構築のプロセスを明らかにし、口腔癌幹細胞に対する新規治療法の開発につなげようとする点に特色と意義を持つ。これまで困難を極めてきた癌幹細胞の特性分子の探索に向け、OSCC細胞のリプログラミングによる分化段階の巻き戻しと、Tra-1-60陽性細胞のソーティングによる幹細胞様の性質を具有する細胞の維持培養法の確立、三次元培養によるOSCCオルガノイド様細胞集塊の誘導を行った。この結果を踏まえ、OSCC幹細胞の特性分子を明らかにし、腫瘍組織構築プロセスやOSCC幹細胞の治療標的分子の解明による革新的な分子標的治療法の開発に向けた展開が期待できる。
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