老齢マウスとシェーグレン症候群(aly/aly)マウスにおける口腔乾燥症の発症機序を明らかにすることを目的とする。老齢マウスと若齢のaly/alyマウスの脾臓および唾液腺には老化関連T(SA-T)細胞が集積していた。老齢マウスとaly/alyマウスにおけるSA-T細胞が同一の機能を持った細胞であることを確認するために、ケモカイン受容体であるCXCR4とCXCR5発現を検討した結果、CXCR4とCXCR5発現は老齢マウスとaly/alyマウスで同程度であった。また、老齢マウスの唾液腺では若齢マウスと比較して樹状細胞やマクロファージなどが減少するが、B細胞が集積していた。老齢マウスの唾液腺上皮細胞では老化マーカーであるP16INK4aとSA-βGalの発現とケモカインの一つであるCXCL13発現が上昇した。そのため、老齢マウスの唾液腺では細胞老化によりCXCL13発現が上昇し、CXCL13の受容体であるCXCR5を発現するSA-T細胞とB細胞が唾液腺に集積した可能性がある。一方、aly/alyマウスはNIKの点変異により全身のリンパ節が欠損しており、その結果、B細胞が脾臓と唾液腺で減少していた。aly/alyマウスの唾液腺では老化マーカーの発現上昇は見られず、酸化ストレスマーカーが導管周囲に発現しており、CXCL12の発現が上昇していた。そのため、CXCL12の受容体であるCXCR4を発現するSA-T細胞が浸潤した可能性がある。
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