ヘルパーT (Th)細胞は免疫機能において、他の免疫細胞を活性化するメディエーターとして重要な役割を担っている。縫合糸を臼歯に結紮することにより炎症 誘発した歯周炎モデルマウスでは、歯周組織において、炎症に関与するTh17が集積すること、さらに制御性T細胞 (Treg)が減少することが知られている。レスベ ラトロール(RSV)はポリフェノールの一種で、種々の健康促進作用が知られている。我々の先行研究でも、歯周炎モデルマウスにおいて、RSVが歯槽骨の吸収抑制 や炎症性サイトカイン発現を減少させることを報告した。本研究では、RSVの歯周組織の治癒作用に、Th細胞が関与しているのではないかと考え、歯周炎モデル マウスの歯周局所のTh細胞組成に対するRSVの効果を明らかにすることを目的として実験を行った。 BALB/C野生型マウスをランダムに3群に分け、うち2群のマウスに、9-0絹縫合糸を上顎両側第二臼歯の歯肉溝に結紮し、結紮糸周囲に1μgのLPS(1ul)を塗布し て炎症を誘発した。結紮日及びその3日後におよそ200ug のRSV2量体(10mg/kg 体重当たり)を腹腔内注射した (RSV群)。対照群にはPBSを投与した (PBS群)。非 結紮・非注射のマウスをコントロール群とした。7日後に頸部リンパ節よりリンパ球を分離し、フローサイトメトリーにより解析を行った。 その結果、分離された総白血球数は3群全てで差がみられなかった。Th細胞(CD4+細胞)中のTh17細胞の割合も3群で差がみられなかった。CD4+細胞中のTh1細胞 の割合はコントロール群よりRSV群とPPS群は減少しており、RSV群の方がPBS群より減少傾向が強かった。
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