P. gingivalisによるインターフェロンシグナルの抑制は、自身の細胞内での生存の促進につながるだけでなく、他の病原性細菌の排除にも抑制的に働いている可能性がある。したがってその作用機序の解明は、P. gingivalis がもつ歯周病における「キーストーン病原体」としての病原性発現機序の新たな側面を明らかにする、先駆的な研究につながる可能性がある。また、マクロファージは歯周組織だけでなく、アテローム性動脈硬化など全身性慢性炎症疾患の病変部でもP. gingivalisと相互作用することが示唆されており、歯周疾患にとどまらず多様な慢性炎症の病態解明につながる潜在性を有している。
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