研究実績の概要 |
マウスやラットの歯周炎モデルでは、原因となる細菌、プラークあるいは結索糸を除去すると歯周組織は再生するとされているが、マウス歯周炎モデルにおける歯周組織修復機序やヒトにおける修復機序との差異は明らかではない。本研究では、マウス歯周炎モデルにおける修復機序に関して、特に接合上皮に着目して、炎症細胞動態や組織修復過程を解析し、再生後組織の構造・機能的な特性を明らかにする。
解析内容 歯周炎罹患期間と修復期間の関係、 歯周組織修復過程における炎症細胞動態および各種サイトカインならびに分解酵素の発現変化、再生後の歯周組織とnativeな歯周組織の間の構造的および機能的な差異の有無、歯周組織が再生する場合と再生しない場合における修復機序の相違
今年度は、歯周炎の基本的な修復過程を解析した。マウス上顎第二大臼歯の絹糸結索により歯周炎モデルを作製し、1,2,4,8週間維持した後、歯周組織を採取した。また、1,2,4,8週間の歯周炎期間の後、結索系を除去し、歯周組織の修復過程、再生の有無および再生後組織を解析した。解析方法としては、マイクロCTによる画像解析、パラフィン包埋および凍結包埋標本の組織学的および免疫組織化学的染色による炎症細胞局在の検索、リアルタイムPCRによる遺伝子発現検索を行った。絹糸結索後1週間(歯周炎期間1週間)で、歯槽骨の有意な減少を伴う歯周炎状態が形成された。歯周炎期間1、2週間の場合は、結索系除去により歯槽骨の形成および歯周組織の修復が認められた。
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